インクジェットプリンタはデジカメ印刷に向いているか?

たいへんタメになる HP を見つけた。

https://www.geocities.co.jp/SiliconValley-SanJose/1157/pri1.htm (現在はリンク切れ)

プリンタのカタログなどで解像度は 「dpi(dot per inch)」 として示されていることが多い。現在知る限りでは一般的に手に入る EPSON などのプリンタで 2,880dpi が最高だと思う。そしてメーカーも写真画質を謳っている。実際に私が持っている EPSON のプリンタも銀塩写真ほどまではいかなくても、見てれば 「キレイだなー」 という感じだ。

この HP では、写真画質を語る上で dpi に代わる物理解像度 lpt (line per inch) というものを紹介している。この作者はデジカメで撮った写真を印刷するならインクジェット方式よりも構造的に昇華型のプリンタであると述べている。カタログスペックの dpi はインクジェットより昇華型の方が低いが、インクジェット方式が 「デジカメ画像」 を印刷する場合はカタログスペックの dpi を割り引いて考慮すべきで、昇華型の方は dpi=lpi であるという理由だ。私は、雑誌の記事などでこれを的確に説明したものを読んだことがなかったが、上の HP で理解できた。

HP がなくなると困るので、以下、結論だけ一部を無断引用しておく。
※注: 本当に HP がなくなっていて転載しておいてよかった。。

つまり、1,440 dpi のインクジェットプリンタは、1440 / 16 = 90が実効的な解像度ということになります。この実行解像度が lpi です。1,440dpi だと思っているインクジェットプリンタは、カラー印刷に関して 90 dpi と同等の性能の物でしかないということです。これに対し、文字は 2 階調ですから dpi=lpi です。つまり 1,440lpi ですから画像に比べて圧倒的に高い解像度を持っているわけです。 文字と画像を一緒に印刷した際、画像の美しさが著しく劣るのは印刷紙のせいではありません。単に画像を印刷する際の実効解像度が著しく劣るからです。

では 300 dpi の昇華型はどうでしょうか?昇華型の場合、各ドット毎に 256 階調の表現が可能です。したがって、ハーフトーンピクセルを利用する必要は無く、dpi=lpi となります。つまり、300 lpi です。1,440 dpi のインクジェットよりも解像度は高いわけです。メーカが肝心の lpi をカタログに表記しないのは、このあたりに原因があるのではないでしょうか?

余談ですが、昇華型の多くが葉書サイズにしか対応していない理由の一つにこの lpi の高さがあります。Dimage7 の 200 万画素モードは 1600 x 1200 です。300 lpiですから、5.3 x 4inch=13.4 x 10.2cm にしかなりません。つまり解像度が高いために、小さい大きさにしかプリント出来ないわけです。A4 版の昇華型プリンタは、500 万画素クラスのカメラの登場で初めて必要になったということです。そういえば、オリンパスが出しましたよね。

昇華型がインクジェットに比較して高画質である理由がこれでお解りでしょう。 continuous tone だからというだけではありません。

擬似ではない真の諧調表現が行えるため、トーンの変化が滑らか。解像度が高い。要するに、後者は無視されていたわけです。実際にはこちらの寄与の方が大きい様に感じます。 インクジェットは明らかに "荒い" です。

私は網点パーセントについて正確に知りたいということから、プリンタの物理的解像度 (lpi) の問題を知り、主にこの観点からインクジェット方式の問題点を指摘して来ました。しかし調べていくうちに、インクジェットはもっと根本的な問題を抱えていることに気づきました。それはインクジェットによるプリントが "印刷" であるということです。

本屋さんに行って写真集を購入 (立ち読み) して下さい。美術書が理想的ですが、アイドルの写真集でも構いません(^^;。その表紙を良く見て戴きたい。それがインクジェットプリンタの作り出す究極の画像です。これが写真画質でしょうか?手元の銀塩写真と比べてみて下さい。根本的に方向性の異なる物だということが御理解戴けると思います。数億の機械を、熟練したプロが扱って作り出した作品がそれなのです。インクジェットの進歩は早く、今後もより美しい画像を印刷出来る様に改良されていくことでしょう。しかし、究極の画像を銀塩に設定した場合、この進化の方向には疑問符が付きます。

インクジェットプリンタは、他方式に比べて多くのアドバンテージがあります。そのため、大きなシェアを獲得したわけです。しかし、写真プリント機としては必ずしも適していると言えません。

では、私達が利用可能な他方式のプリンタにはどういうタイプがあるのでしょうか? 3 つあります。

  • 昇華型
  • 銀塩型
  • TA システム(Thermo Autochrome system )

です。

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