アメリカに住んでしばらくしてからその理由がようやく理解できた。それは、報道されているようにいろいろ理由をゴネてしないのではなくて、実際は 「できない」 といった方が正確だろうと思う。
(アメリカ人が考える自由とは?)
まずはアメリカ人の考えるところの自由を考察してみよう。アメリカ人は自由が好きらしい。自由の国、アメリカ。しかしアメリカ人が考える「自由」というものをディスカッションしたり、直接訊いたりする機会はフツーの日本人には少ないだろう。住んでいる私だって、仕事以外の話でこんな話題は出さないから、本当のところどう考えているのかわからない。彼らが考えてる自由とは何だろう?ほんの一例ではあるが、短大の ESL のクラスに通っていたときに自由 (freedom)について教授が言っていたひと言が印象的であったので紹介しよう。
こういうのがアメリカ人の考える自由のようだ。
(環境問題とは?)
さて、自由の次は環境問題を考える。以下に大まかに整理してみよう(出典は勤務先の環境研修資料より)。
上のリストの中で地球温暖化に影響を及ぼしているものの大部分が、人間社会が生み出す二酸化炭素の排出の増加である。より正確には、温暖化が起こる原因は温室効果ガスで、二酸化炭素は温室効果ガスの代表選手ということになろう。日本人としては、地球温暖化の影響は、まさに今の日本の夏で体験してることであり、決して自分とは関係のない問題ではないだろう。
(京都議定書とは?)
京都議定書はその名の通り、京都(KYOTO と書いても英語では 「キョウ」 が発音できないので、 「キヨト」 と発音する)という名前がついている。今後の環境問題を考え上で、まずはこの世界を代表する日本の都市、京都の名がつき、その環境問題に日本人が取り組むことは世界に誇るべきことである。日本人はもっとガイジンに対して胸を張ろう。一方で日本人は今までも、そしてこれからもその名に恥じない活動に取り組んでいかねばならない。
京都議定書とは、1997年に京都で締結された国際条約のことで、この条約の目的は温室効果ガス6種類を抑制するというもの。京都議定書には各国の温室効果ガスの削減目標が定められていて、日本は 2008~2010年までに温室効果ガスを 6% 削減することになっている。
この議定書は 2004/11 にはロシアが批准し、2005/02/16 に発行となった。しかし、アメリカは未だ議定書に署名していない。
(日本のケース)
日本の場合は二酸化炭素が温室効果ガスに占める割合は 93.6%となっており、東京電力によれば、火力発電所から排出される煙の 99%は二酸化炭素だという。日本の場合、火力発電は 2002年の時点で 57.4%となっている。従って日本では電気の消費量を減らすのが正しいが、同時に紙の使用やゴミを減らすといったことも平行して行うべきである。
(アメリカのケース)
さて、自由の国アメリカのケースだ。冒頭でアメリカ人の考える自由について触れたが、そのアメリカの温室効果ガスの排出の現状はどうなっているのだろう?それを理解するには次の円グラフを見れば一目瞭然だ。
つまり、たかだか地球上の 4%の人口しかないアメリカは、エネルギーを消費しまくって温室効果のおおよそ 20%以上もの原因を作っていると考えられる。アメリカで暮らすにはエネルギーが必要だ。それは都市の設計がクルマ社会、大陸内での飛行機での移動、大量生産・大量消費というシステムに基づいているためだ。
日本のように
…ことをしたところで、日本の二酸化炭素の排出量は全体の 5%だ。地球全体を見渡せば、日本なんかよりも、全世界の二酸化炭素の 24%を排出して地球をスポイルしているアメリカをなんとかした方がいいだろう。だからといって日本人は温室効果ガス削減の努力をしなくていいということではない。繰り返すがこれまでの我々の取り組みは誇りに思うべきなのだ。今までの取り組みをさらに発展させて粛々と続けていくのだ。同時に、日本人にはぜひともアメリカ人がなぜ議定書に署名できないか知って欲しいのだ。もちろん、アメリカも州や企業レベルで、「これではいけない」と、どうにかしようと取り組みを考えている側面もある(生活していてもあまりそれは感じられないのだが)。しかし少し立ち止まって考えれば、アメリカがありもなかった理屈をこねてイラクを侵略しに行った理由もわかるだろう。
"Think Globally, Act Locally."
2006/09/01 追記
カリフォルニア州議会、温暖化ガス規制法を可決 (CNN.co.jp)
2006.09.01
Web posted at: 15:59 JST
- REUTERS
ロサンゼルス(ロイター) 米カリフォルニア州議会は31日、地球温暖化の原因となる二酸化炭素などの排出量を制限する法案を可決した。米国内の州の先頭を切って、温暖化ガスの排出枠が設けられる見通しとなった。
同法案は、2020年までに、州内の温暖化ガス排出量を1990年のレベルに戻すため、約25%削減する内容。発電所やセメント工場などの事業所には、排出量の報告が義務付けられる。
シュワルツェネッガー知事は、今月中にも同法案に署名する構えだ。同知事は共和党だが、京都議定書から離脱するなど、温暖化対策に消極的なブッシュ政権に批判的な立場を示し、民主党議員らと協力して規制法の成立を目指してきた。
共和党議員からは産業界からの反発を懸念する意見が相次ぎ、規制の緩い中国などへ企業が流出する可能性も指摘されたが、採決では多数派の民主党からの賛成が上回った。
地球温暖化を防ぐために二酸化炭素などのガスの排出量を削減しようというのは、よいことだ。
日本が先頭に立ってすすめようとするのも、よい考えだ。
しかし、それは他の国がみな協力してくれることが前提だ。各国とも事情があり、削減目標が一律というわけにもいかないだろう。それはわかる。
だが、京都議定書はあまりにも不公平である。途上国には一切削減目標を課さないのはおかしい。特に、大量のガス排出国、中国が途上国扱いを受けて野放しなのは、絶対に許せない。最大の排出国、米国も参加していない。
中国、米国が日本と同じ程度の削減目標を課されないうちは、日本は京都議定書から一時離脱した方がよい。
コメントありがとうございます。
なぜかアメリカ人は日本を訪れるというと(たとえそれが東京への出張であっても)、京都がセットになっています。日本人としては京都を知らないと国際人としてはずかしいくらいです。下手すると相手(ガイジン)の方が京都のことをよく知ってたり、訪れた回数が多かったりしますから。。
別に議定書のことを知らないでも生きてはいけます、偉そうなことを言っているのかもしれませんが、でもこれからは京都に住んでいることを誇りに思って欲しいです。
MIXIから飛んできました。
京都に住んでいますが
恥ずかしながら京都議定書について無知でありここで勉強させていただきました。アメリカがサインしてないとはしりませんでした
これから少しつ”つ勉強していきたいです。
ブッシュ政権は石油産業と軍需産業に支えられているから、イラクの石油を狙って戦争もするし、石油が高騰してウハウハなわけで、京都議定書なんか迷惑千万なんだろ。