段取り 8割、現場 2割

これは、仕事において、段取りが非常に大きな役割を占め(全体の 8割)、それが成功すれば実際の仕事の実行(現場)は 2割に過ぎない、ということをいったものである。まさにその通りだと思うが、8 : 2 の割合は 「パレートの法則」 として知られている。その例は枚挙にいとまがない。

  1. ビジネスにおいて、売上の 8割は顧客全体の 2割が生み出している。よって売上を伸ばすには顧客全員を対象としたサービスを行うよりも、2割の顧客に的を絞ったサービスを行う方が効率的である。
  2. 企業の売上の 8割は、全社員のうち 2割の社員の働きによって得られる。
  3. 企業の売上の 8割は、商品の 2割が生み出す (*1)。
  4. 企業の売上の 8割は、顧客の 2割が生み出す (*1)。
  5. トラブルの 8割は、顧客の 2割が生み出す (*1)。
  6. 仕事の成果の 8割は、費やした時間全体のうち 2割である。
  7. 故障の 8割は、全部品のうち 2割に原因がある。
  8. 所得税の 8割は、課税対象者の 2割が担っている。
  9. プログラムの処理にかかる時間の 80%はコード全体の 20%の部分が占める(この 20%を「ボトルネック」と言う)。
  10. 全体の 20%が優れた設計ならば実用上 80%の状況で優れた能力を発揮する。
  11. 働き蟻は全体の 20%が働いているだけで、その 20%の働き者の蟻を巣から取り除くと、残りの蟻の中からやはり 20%の蟻が働くようになる (*2)。
  12. 働きバチはよく働く 20%と、普通に働く 60%、あまり働かない 20%にきれいに分けられるそうだ。面白いことに、よく働く 20%だけ集めて新しい巣をつくらせてみると、そこでも同じくよく働く 20%と、その他の 80%に分かれてしまう。逆に働かない 20%を集めて巣をつくらせても、やはり同じようによく働く 20%が現れてくるという (*1)。
  13. 日本は、国土の 1割に人口の 9割が住む。

これらパレートの法則の中で私が気に入ってるのが 「段取り 8割、現場 2割」 という言葉である。特に日本企業(だけに限らないと思うが)の場合は、段取りや企画の段階でうまくいけば後は実行するだけでよいのである。プログラミングなどでシステム開発に携わったことがある人なら、いかに設計が大事かということを肌で感じているはずだ。

ところで、このパレートの法則を初めて知ったのは私が小学校 5年生のときに、担任の先生の家に遊びにいったときであった。その先生の家にの本棚には漫画 「サスケ (*3)」 が全巻が置いてあって、その中からふと手にした本に 「地球上のものはおおよそすべて 75 : 25 でできている」 ということが書いてあったのだ。

たとえば人間の体も水分とそれ以外は 7 : 3 くらいだし、地球自体も海と陸の割合は 7 : 3 くらいである。説得力があったのは以下の図の白とグレーの部分の面積比であった。

circle_rectangle.jpg

この図は円とそれに接する正方形を表わしている。ここで、円の面積と正方形から円の部分を除いた部分、すなわち図のグレーの部分の比である。正方形の辺の長さを 1 とすると、正方形の面積は 1。一方、円の面積は π x 0.5 x 0.5 であるから、π=3.14 とすると 円の面積は 0.785。よって、正方形の面積 1 から円の面積 0.785 を引くと、グレーの部分の面積は 0.215。

これは比にすると約 8 : 2 くらいであり、これは見事にパレートの法則にあてはまる。このことを知った当時はまさに目から鱗だった。

*1 (この本は読まなくてもいいかも知れない。)

*2 (事例がなかなか面白かった。)

*3 (何巻に上の話が載っていたかはもちろん覚えていない。)

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コメントありがとう。この話は、「ロングテールの法則」に続きます。

Posted by yas (未認証ユーザ) on 2006/06/08(木) 07:53

興味深い。内容でした。
これからも色々学ばせてください・・・。

Posted by tama (未認証ユーザ) on 2006/06/08(木) 06:30