最近、ADSL という言葉をよく聞く。PCをインターネットにつなぐときの方式のひとつではあるが、この方式を説明するには 「水道」 を考えるとわかりやすい。
自宅にある水道の蛇口をひねると水が流れるのは当然のようなことではあるが、実際は水道局 → 水道管 → 蛇口という流れになっている。水が蛇口から出るとき、実際には水道局、水道管、蛇口、の 3 つの要素だけではないが、ここでは話をわかりやすくするために単純化することにする。
水道局と蛇口はまっすぐな水道管で結ばれている。水道局には水を流すポンプがあって、しこしこ水を汲み上げて流しているとする。
このとき、蛇口が水道局から近ければ近いほど勢いよく流れる。ポンプとの性能と水道管の太さが同じなら、蛇口が遠ければ遠いほど水の流れが弱くなる。それだけ長い水道管を通って水が流れるにはそれだけの圧力が必要だからである。
これと同じ原理が ADSL である。
水道局を電話局、水道管を電話線、蛇口を PC に置き換えてみよう。流れるのは水ではなくてデータである。
ADSL では電話局から近ければ近いほどデータ転送のスピードが速い、、すなわち、プラウザでHPを見るときに瞬時に表示されるということである。電話局から近ければそれだけ電話線を流れるデータのスピードが速くなる。
水道の場合は、水道局から蛇口までの水道管は実際には 1 本ではなく、何本かの水道管がつながっているとすると、つなぎ目で水が少し漏れるかもしれない。
「多少、途中で水漏れがしても蛇口から普通に水が出れば良い」
実は、この考え方が ADSL の基本である。ADSL では 「データを速く流すかわりに、途中でデータがなくなって
しまっても、もう一度送り直せばいいや」 みたいな感じでシステムが設計されている。途中、データがなくなってしまうことを 「伝送損失」 という。電話局から自宅が遠くなればなるほど、伝送損失が多くなるため(水道の場合は水道局から蛇口が遠いと水道管のつなぎ目が多くなるから水漏れが多発する)、ブラウザに表示されるべきデータが PC に到着したときに、途中で失われたデータを復旧するのを待つのである(必要なデータが揃わないとHPを構成できないでしょう?)。よって HP の表示が遅くなるのである。
これは、水道局にあるポンプの性能が上がったために、多少水漏れしても蛇口から問題なく水が流せるようになった、ということに似ている。
ADSL は、結構いい加減な仕組みで成り立っているのであった。これを「ベストエフォート(最大限の努力)」という。
ちなみに、 ADSL に比べて途中で伝送損失がほとんどないのが 「光ファイバー」 を使ったデータ伝送方式である。これを FTTH (Fiber to the Home) という。NTT東西が「フレッツ光」とCMしているのはこのことである。
あと数年もすると光ファイバーによるインターネットの世界が訪れることになっている。