HDD 容量の謎

外付けの HDD を買ったことがある人ならわかると思うが、買ってきたばかりの HDD をウィンドウズや Mac で容量を表示させると、カタログ値よりも実際にはHDDの容量が例外なく少ない。大容量になればなるほど誤差が大きくなり、期待していた容量よりも少ないという現象が起きる。
以下、長文につき最初に結論を述べておこう。─── それはメーカーと OS との間での表記の計算方法の違いだった。私の見解では誇大広告ではないかと思う。
たとえば 160GB の HDD を買ってきた場合、容量が空の状態で 149GB である。11GB はどこに行ったのだろう?
これはなぜなのだろうか?私はずっと、容量が大きくなればなるほど HDD 自体を管理する領域が増えていき、その分減るのだと思っていた。
が、しかし!!! それは単なる私の思い込みだった。今日、その真相を発見した。
答えは、計算方法の違いだそうだ。つまり、メーカーが謳うカタログ値はデシマル(10進数)表記
だったのだ。これは、バイト容量を 1GB = 1,000,000,000 バイトで計算したものだ。しかし、実際にはコンピュータはバイナリ(2進数)で表記するため、1GB=1,073,724,841 バイトで計算している。
デシマルで計算すると、単純に計算は以下のとおりとなる。
160GB(表記)= 160GB バイト = 160,000,000,000 / 1,000,000,000 バイト
一方でバイナリで計算すると、
160GB(表記)= 149GB バイト = 160,000,000,000 / 1,073,724,841 バイト
となり、両方とも計算は合っているのだが、バイナリ表記は計算時の分母が大きくなるため、カタログ表記よりも少なくなるのだ。
でも、これって・・・・・・・・・
消費者をなめてませんか?広告の不当表示だと思う。以前 ADSL の速度が誇大だとの話があり、公正取引委員会が是正措置をとったが、この HDD の容量表記も同じレベルであると思う。メーカーは都合のいいようにデシマル表記を使っている。
HDD と同じ記憶装置である 「メモリ」 の方は、1GB のメモリの場合でも、カタログはデシマル表記でも実際はバイナリで実装されている。HDD とは逆に、メモリの場合は消費者は買ってきた容量よりも余裕があるので、常に嬉しい思いをしているという例もある。
では、なぜ今まで話題にされなかったのだろう?それは、技術者の私でさえ、今頃気づいたくらいだし、真相を知らないだけなのだろう。公正取引委員会にチクったら面白いことになるかも。
以下に、参考までに主な容量の対応表を載せておく。

デシマル
バイナリ

80 GB
74.51 GB

100 GB
93.13 GB

120 GB
111.76 GB

160 GB
149.01 GB

180 GB
167.64 GB

200 GB
186.26 GB

250 GB
232.83 GB

300 GB
279.40 GB

320 GB
298.02 GB

リンクは「Why is my drive displaying a smaller than expected capacity than the indicated size on the drive label?」 (Western Digital)

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Posted on 2005-07-29 by yas |

以下は、その後の状況 (Western Digital の場合)。ITmedia News:HDDの「ホントの容量」めぐる訴訟で和解成立 (https://www.itmedia.co.jp/news/articles/0606/28/news052.html) の記事、リンク先は契約切れのため表示されない。

HDDの「ホントの容量」めぐる訴訟で和解成立

HDDの容量が公表値より少ないとして約100万人から提訴されていた訴訟で、Western Digitalはソフトを配布することで和解をとりつけた。このトラブルは、容量表記に2つの基準があることに起因している

2006年06月28日 15時03分 更新

サンフランシスコ(Associated Press)

 米Western Digitalは、同社製PCのHDDの記憶容量が公表値よりも少ないとして起こされていた集団訴訟で、約100万人の消費者に無料ソフトを提供することなどで和解した。この記憶容量と公表値の食い違いは、ハイテク業界でデジタルデータの容量表記に異なる基準が使われていることに起因している。

 6月27日に発表された和解の下、Western Digitalは、2001年3月22日から今年2月15日までに同社製HDDを購入した人を対象に、コンピュータファイルのバックアップ/復元ソフトを無料で配布する。

 配布対象となる100万人の消費者は、ソフトを入手するためには、7月15日までに同社のサイトで配布対象者として登録しなければならない。

 カリフォルニア北部地区連邦地裁のバーナード・ジマーマン補助裁判官が今月承認したこの和解では、同ソフトの小売価格は1本30ドルと算定されている。消費者は訴訟対象のHDDを平均150ドルで購入していた。

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 Western Digitalは消費者に配布するソフトの代金を負担するほか、サンフランシスコの弁護士で昨年この訴訟を提起したアダム・ガトライド氏とセス・サフィア氏に対する報酬と費用の支払い50万ドルを肩代わりすることにも同意している。この報酬・費用金額については裁判所の承認が必要だ。

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 Western Digitalは、この訴訟の申し立ては根拠のないものと考えているが、法廷闘争による多額の費用の発生を避けるために和解に踏み切ったと、同社広報担当のスティーブ・シャタック氏は述べた。

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 同じく大手HDDメーカーのSeagate Technologyも両弁護士からサンフランシスコ上級裁判所に同様の訴訟を提起されており、この訴訟は現在も係争中だ。

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 HDDの容量をめぐるこうした係争は、コンピュータのストレージに格納されるバイト単位の情報量を表現するのに2つの異なる方法が使われていることを浮き彫りにしている。

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 ほとんどのPCで使われるOSのメーカーであるMicrosoftとApple Computerは、キロ(K)バイト、メガ(M)バイト、ギガ(G)バイトといったバイト数のカウントを二進法に基づいて行っているが、Western DigitalをはじめほとんどのHDDメーカーは、より一般的な十進法に基づいてバイト数をカウントしている。

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 このため、MicrosoftのWindowsシステムでは、1Gバイトは10.7億バイトと解釈され、Western Digitalなど多くのHDDメーカーの換算による10億バイトよりも多くなる。

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 HDDの製品パッケージに記載される容量と、PC上に保存される容量を比べると、この差はかなり大きなものになる。

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 Western Digitalに対する集団訴訟では、原告は、同社の80GバイトHDDの実際の容量は、74.4Gバイトだったと訴えていた。この7%分の不足がなければ、購入者はさらに80時間分のデジタル音楽や、5600枚のデジタル写真を保存できたはずだと原告は主張した。

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 ほとんどのHDDメーカーは、パッケージに記載の記憶容量をすべて利用することはできない可能性があるという注記を付けている。今回の和解では、Western Digitalは同様のただし書きを和解成立から6カ月以内に製品パッケージに記載することになっている。

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[Michael Liedtke,The Associated Press]

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\nCopyright 2006 Associated Press. All rights reserved. This material may not be published, broadcast, rewritten, or redistributed.

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     Western Digitalは消費者に配布するソフトの代金を負担するほか、サンフランシスコの弁護士で昨年この訴訟を提起したアダム・ガトライド氏とセス・サフィア氏に対する報酬と費用の支払い50万ドルを肩代わりすることにも同意している。この報酬・費用金額については裁判所の承認が必要だ。

     Western Digitalは、この訴訟の申し立ては根拠のないものと考えているが、法廷闘争による多額の費用の発生を避けるために和解に踏み切ったと、同社広報担当のスティーブ・シャタック氏は述べた。

     同じく大手HDDメーカーのSeagate Technologyも両弁護士からサンフランシスコ上級裁判所に同様の訴訟を提起されており、この訴訟は現在も係争中だ。

     HDDの容量をめぐるこうした係争は、コンピュータのストレージに格納されるバイト単位の情報量を表現するのに2つの異なる方法が使われていることを浮き彫りにしている。

     ほとんどのPCで使われるOSのメーカーであるMicrosoftとApple Computerは、キロ(K)バイト、メガ(M)バイト、ギガ(G)バイトといったバイト数のカウントを二進法に基づいて行っているが、Western DigitalをはじめほとんどのHDDメーカーは、より一般的な十進法に基づいてバイト数をカウントしている。

     このため、MicrosoftのWindowsシステムでは、1Gバイトは10.7億バイトと解釈され、Western Digitalなど多くのHDDメーカーの換算による10億バイトよりも多くなる。

     HDDの製品パッケージに記載される容量と、PC上に保存される容量を比べると、この差はかなり大きなものになる。

     Western Digitalに対する集団訴訟では、原告は、同社の80GバイトHDDの実際の容量は、74.4Gバイトだったと訴えていた。この7%分の不足がなければ、購入者はさらに80時間分のデジタル音楽や、5600枚のデジタル写真を保存できたはずだと原告は主張した。

     ほとんどのHDDメーカーは、パッケージに記載の記憶容量をすべて利用することはできない可能性があるという注記を付けている。今回の和解では、Western Digitalは同様のただし書きを和解成立から6カ月以内に製品パッケージに記載することになっている。

    [Michael Liedtke,The Associated Press]


    Copyright 2006 Associated Press. All rights reserved. This material may
    not be published, broadcast, rewritten, or redistributed.

Posted by yas (未認証ユーザ) on 2006/08/09(水) 21:37
自称ですか?

デシマル表記とバイナリ表記で容量が異なるって、何をトンチキな事を言っているのか。
2進法で149Gは10進法で160Gになるって、おかしな事だと思わないのか?

正しくは、PC業界では1Kは1024としている所が原因。
・2進数でカウントすると、1000に一番近い全ビット1立てた数値は、9bitの1023になる。
・きっちり1000にできるが、使わないビットが出るのがもったいないので1K:1024にしている
で、1K→1M→1Gで1024x1024x1024となり、PC業界では1G=1,073,741,824になっている。

20世紀の頃から、初心者向けの解説書には絶対といってよいほど出てくる内容。
技術者を名乗るなら、単に勉強不足としか言いようが無い。
ま、何の技術者なのかは知りませんが。

Posted by 匿名さん on 2009/10/05(月) 11:00