ケインズは、その著書「雇用・利子および貨幣の一般理論」 (1936) の中で、株式投資を以下のように美人投票に例えた。
プロの投資とは、100枚の写真から最も美人な女性 6人を選出するコンテストに見立ててもよいだろう。そのコンテストでは、その選択が投票者全体の平均的な好みに最も近かったものに商品が与えられる。この場合、各投票者は、自分自身が最も美しいと思う容姿の女性を選ぶのではなく、他の投票者の好みに最もよく合うであろうと思う容姿の女性を選ばなければならない。
さらにケインズはこう続ける。
しかも、投票者のすべてが問題を同じ観点から眺めているのである。ここで重要なのは、自分自身の最善の判断から最も美しい容姿の女性を選ぶことでもなければ、平均的な意見で最も美しいと実際に思える容姿の女性を選ぶことでもない。我々は、平均的な意見はいかなる平均的な意見を期待するのか、それを予見するのである。我々の知力をここに集中する場合、我々は第3次的な領域に達しているといえる。さらに第4次、第5次ならびにそれ以上の高次の領域まで実践する人もいるだろう。
ここで話がややこしいのが、「みんなが美人だと思う女性」を選ぶのではなくて、さらにワンステップ突っ込んで、「『他の誰もがみんなが美人だと思う女性』とみんなが思っている女性」を選ぶということである(プログラミングに詳しい人は、「ネストしている」といえばわかりやすいだろうか?)。
株式投資とは、「この株は上がる(下がる)とみんなが思っている」と、自分が判断した銘柄を選択して買う(売る)ことではなく、一歩下がって「みんなが上がると思っている」という銘柄は、本当にみんながそう信じているのか?」吟味して選択することなのである。
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