今回は技術的な話は抜きにしてブログの効果、効用について考察してみたい。
1999/12 に私は親しい知人・友人をそのメンバーとして Economics というメーリングリスト(いわゆるメルマガ)を始めた。そのきっかけは、「常日頃感じていること、思っていることを少なくとも私の近い人に知って欲しい」であった。そして当時は 「そして今後、私のように個人が常日頃感じていること、思っていることをネット上で配信(個人の情報発信)したい人が増えるであろう。」 とも予想したからでもあった。しかし適切な手段が当時はなかったので、システムとしてはメーリングリストが最も適切ではないかと考えていた。書き手と読み手の双方向のコミュニケーション手段としてはメールが最適であると思ったからである。
1999/12 のそのメーリングリスト開設当初から、ウェルカムメールには次のように書いてある。
さて、時代が経ち、Economcis 創刊からの数年後、この予想が具現化したものがブログであろう。あいにく情報発信の手段はウェブ=ブログとなり、メールベースのコミュニケーション手段であるとの私自身の予想ははずれてしまったが、ブログと Economics で私が情報発信してきたことの本質は変わらないだろう。
ちなみにメーリングリストとメルマガの違いをここで定義しておくと、
Economcis ではメーリングリストの形式を取りながら(つまり、メンバーも必要があれば自由に投稿できる) メルマガのスタイル(基本的に私の独り言)を取っていた。従って、メルマガのように完全に一方通行なわけではなかった。
それではメルマガとブログではどのように違うのだろうか?それをまとめてみよう。
Economcis の対象の読者は私が選び、限定していた。そしてこのメーリングリストに投稿してきた内容はまぎれもなく私の独り言であった。内容も原則非公開であり、私自身は身元のはっきりとわかる方しか登録していない。メンバー数も多くない。よって、公であれば著作権上まずいものでも、私信メールのように流すことができた。
メールは読み手が読むか読まないか不明ではあるものの、少なくとも読み手のメールボックスに直接に届く。ブログも RSS の機能を読み手が使っていれば読み手に更新が自動通知される。メールというシステムは読み手の意思という面では受動的である。一方ブログ(ウェブ)は読み手が読みたいときにアクセスするため、能動的である。読み手の意思にかかわらずメールは配信されるため、強制力はメールの方が強いといえる。
メーリングリストやメルマガでは、メールというシステムの特性上、一度投稿した内容は取り消すことはできない。一方ブログはウェブサイトという形となるわけだから、投稿した内容は後からいくらでも変更可能である。誤字脱字レベルであれば後からの変更は許されるであろうが、細かな表現から始まって一部または全体の内容まで変えてしまうと一貫性が保てない。さらにブログでは一度投稿した記事の 「削除」 が可能である。
例えば国会議員が自分のブログで不適切な発言をしてしまい、それを後から取り消すようなことがあったらどうだろう?一度投稿した内容が
「世の中に影響を与える形で物議を醸し出してしまったので投稿を削除した」 というのでは、メディアとしては到底信頼できるものではないだろう。
実は、メーリングリストのシステムはたいていにおいて、投稿された内容が HTML 形式 (HP) に変換され、それは HP として公開することができるようになっているものが多い。Economics でも(今は公開はメンバーにすらしていないが)投稿されたメールはウェブから見ることができる。この意味では「簡易 HP 作成機能」というよりはむしろ、投稿したメールの内容でそのまま自動的にウェブサイトができあがってしまう。が、、
メーリングリストのウェブサイト自動作成機能には、テンプレートやアーカイブ(月別や日別の管理)など、投稿した内容をいろいろな角度からきめ細かく見せるまでの機能は弱いだろう。
実際は、コメントはメーリングリストへの参加者であれば投稿されたメールにリプライする形でコメントをつけることができるため、この部分ではブログの要件は満たしている。ただし、ブログのように本稿とコメントが分かれるわけではなく、投稿されたメールもコメントとして投稿されたメールも、メンバーのメールソフトに対しては同じメールとして扱われる。テンプレートとも関連するが、テンプレートはブログのオーナーが読み手にサイトをデザインしながら投稿内容を提示する。テンプレートがユーザーの目を通して見せることのできる 「枠」 だとすると、メーリングリストでのこの 「枠」 はメールソフトということになる。ブログではそのブログのサイトのデザインが、読み手のセンスに合わないこともあるかも知れず(たとえばフォントの種類やその大きさなどが自分の好みに合わないこともあるだろう)、一方のメーリングリストでは読み手がいつも使い慣れたメールソフトを通して記事を読めるという点では、同じ記事であればメールで配信した方が良い場合もあるかもしれない。
この機能はメーリングリストにはない機能である。逆に、外部システムと連携できるからこそ、ブログで自分の意見を述べる意義があると言えるだろう。
個人の HP といえばこれだけ世の中がブログに向かったので、実は私は、2005/02 から、自身が持つ技術情報を公開していくことにした。実際はケータイをシステム手帳にバージョンアップするサイト i-Services のシステム開発・サイト構築で得た技術である。会社の業務で得た技術情報はもちろん守秘義務に反するし、i-Services は完全に私的なサイトであるので問題はない。
※このブログは対象が完全に技術者となるため、今まで Economcis では周知していなかった(というか、特に周知はしていない)。
2005/02 から始めたこのブログ、本格的に取り組み始めたのは去年の秋からである。ブログもひとつのキャリア提示の場と認知され始めたか、もしくは今後ブログが自身の履歴書の補完材料となっていくのではないかと考えたからである。2005/12 からは、少なくとも 2006年は年間 100 個の技術情報を投稿することを目標とした。そのために 3 日おきに記事を投稿するようにした。実際には書いたらすぐに公開せず、ブログの公開スケジューリング機能を使って書き溜めた記事を 3 日おきに配信するようにしている。技術情報なので、記事が多くなるとだんだん書くネタも減ってくるのであるが、今のところ現段階で 1〜2ヶ月まで記事配信のスケジュールは埋まっている。
ところで、私の妻のブログである
は日記であるが、これはキャリアになるだろうか?このブログは 2004/01 から現在 (2006/02) まで、すでに 2 年間は続いており、2〜3 日のペースで更新されている。日記とはいっても今振り返ってみれば、* 2 年前* からこれだけ続いているブログが他にあるだろうか? 「ゆたママ家のだいありー」 には、(2006 年の時点で)まだ 2 年しか続いていないともいえるだろうが、ブログが認知された時期を考えればそれなりの歴史がある。
世の中には広くブログが認知 (日経にもフツーに用語として出てくるくらいだし)され、ブログを立てること自体は誰でも簡単にできる時代にはなった。しかしながらブームに流されて自身でブログを立ててみたものの、3 日坊主で終わる人も多い。内容はどんなものであれ、相当の意思がないと継続的に続けられないということは、ブログを書いている人(ブロガーという)は痛感していることだろう。従ってもし今後もこのペースでブログを書くことを続けていければ、もし私に何かあって働かなければならなくなったとき、会社の面接で堂々と 「× 年前からブログは続けています、地道にコツコツとやるのは自信があります」 とアピールできるだろう。
Economics は私的なメーリングリストであり、限定されたメンバーにしかその内容が配信されないのに対して、ブログは新聞や TV などの既成のマスコミを補完し、その速報性、スクープ性から、時には既存のメディアを凌駕する存在になってきている。例えば、最近では以下のようなエピソードがある。
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以上、ブログについてさまざまな角度から見てきた。「あなたの HP ってないの?」と、友人からは今までに何度も質問されてたが、そのたびに 「ない」 としか答えようがなかった。私の HP への興味は、HP というよりもそのシステム面にあったから、技術屋としては i-Services が自分の HP の代わり、といったところだった。なので本当に自分の HP は今までなかったのだが、実際はブログと Economcis メーリングリストの共通点は多い。そこでこの Economics のバックナンバーから今読んでも耐えうる投稿を厳選し、このブログにしてみた。
このブログを作成するにあたっての方針としては以下の通り。
Firefox、Safari (Mac OS X)、RSS リーダー、IE の次期バージョンをお持ちの方は
で、ブログが更新されたことがわかるようになっている。今後は、積極的にブログにも展開していこうと思う。