アメリカに見る格差社会

 「エスパニョール(Español)」とはスペイン語のことだが、アメリカのホームデポ(Home Depot)という大型のホームセンターの掃除用具売り場は何か雰囲気が違う。そこに並べられている商品のすべてが英語とスペイン語の両方の表記か、もしくはスペイン語だけだったりする。

  私の住んでいるカリフォルニアにはヒスパニックと呼ばれる人たちがいる。Wikipedia によれば、

「ヒスパニックは英語では Hispanics といい、メキシコやプエルトリコ、キューバなど中南米のスペイン語圏諸国からアメリカ合衆国に渡ってきた移民とその子孫をいう。中には、先祖が旧メキシコ領に住んでいて、米墨戦争によって居住地がアメリカ合衆国領に組み入れられたため、アメリカ合衆国に移民したわけでもないのにアメリカ合衆国に代々住み着いているヒスパニックもいる。
近年増加傾向にあり、2003年現在で4000万人のヒスパニックがいるといわれ、アメリカの人口の13.4%を占め、最大の少数民族となっている。」

  で、実際にたくさんいる。なんで南米がスペイン語を話すのかはもちろんスペインが南米を植民地化したからだ。 カリフォルニアはメキシコと陸続きで国境があるから、ヒスパニックが必然的に多くなる。

  さて、アメリカのオフィスでは夕方から夜になると掃除をしにくる人がいる。彼、彼女らは例外なくヒスパニックなのだ。私の住んでいるアパートもしかりで、アパートの場合は午前中に掃除に来る。

  この時点でホームセンターに売られている掃除用具売り場がスペイン語で埋め尽くされている理由が明らかになるだろう。

  日本でも私が働いていたビルには必ず「掃除のおばちゃん」がいた。自分のゴミ箱のゴミを捨ててくれたりするんだけど、たまに「ありがとうございまーす」とか声をかけたりもした。

  アメリカに来ても同じように「Thank you〜」なんて最初は声をかけたりしていたのだが、どこかのネットの記事で「声をかけてはいけない」と書いてあった。それによるとアメリカは階級社会だから、オフィスワーカーが掃除の人に声をかけることはあり得ないそうなのだ。逆に声をかけることは失礼にあたる、とまで書いてあった。確かにお礼を言っても気のせいか向こうは返事を返さないことが多いように感じていた。

  日本は掃除のおばちゃんでも、あまり職業による差別とか階級とかは感じないことが多い。ケースバイケースだとは思うけど、掃除のおばちゃんも家に帰ったら普通の家の普通の主婦だったりするかもしれない。

  しかしおそらくアメリカの場合は違うのだと思う、掃除をする職業は格差社会の象徴なのではないだろうか。なぜなら、掃除をするヒスパニックは英語もまともに話せない人も多い。英語が話せたら、せめてファーストフードやレストランの職につけるはずだから。

  …というわけで日本は単一民族でコトバも日本語ひとつだから、アメリカのような露骨な格差社会いや、階級社会は感じにくいのだと思う。

  小泉政権によって日本は確実に米国型の格差社会に移行した。それが感じにくい理由はおそらく、もともと日本は「1億総中流家庭」であったこと、そして上に挙げた通り、国民ひとりひとりに人種や言葉による違いがないため、表面上の格差をハッキリと認識できないのだ。

  だから将来「気づいたら取り返しのつかない格差社会になっていた」となると私は予想する。アメリカがこんな状況なのに、ホントにこのままでいいのだろうか?

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