ブログ、ブログ、ブログ!(事例編)

前回(解説編)のおさらいから。

私の定義する 「ブログがブログである条件」 は以下の 6 つである。

  1. コンテンツ(サイトに載せる記事や情報のこと)の更新が誰でも簡単にできるようになっている。
  2. サイトの記事は基本的に日付ベースで管理される。
  3. 内容に対してコメントが付けられる。
  4. サイトのデザインとコンテンツがはっきりと別に管理されている。
  5. トラックバックができる。
  6. RSS で他のサイトやソフトとコンテンツが連携ができる。

さて、ここでうちの私の妻の HP を取り上げながら解説していこう。

ゆたママ家のだいありー: https://yutamama.2kids.net/diary/

妻がウェブで日記を付け始めたのが 2003 年の 10 月だったと思う(なぜ日記を付け始めたのかは理由は忘れた)。当時、私がネット上からフリーの日記システムを設定して半年弱くらいつけただろうか。ちょうどそのころ、「ブログ」 というものが世で騒がれ始めたときだった。私もすぐにブログで妻の日記サイトを作っていればよかったのだが、妻が日記を始めた時点では私自身もブログのことをゼロから勉強しなければならない状態であった。といっても、何がすごいのかわからないまま 2003 年当時、少しばかり世の中を見渡すと IT 業界は 「ブログ、ブログ、ブログ」 と騒いでいる。

当時よりブログといえば Six Apart 社が出している 「Movable Type」 というものだった (しかも当時はフリーだった) が、仕方ないので勉強のためにとりあえず自分のサーバにブログのシステムをインストールして試してみたところ、今まで使っていた日記システムと大差なく、正直乗り換える理由がなかった。なので、

  1. コンテンツ(サイトに載せる記事や情報のこと)の更新が誰でも簡単にできるようになっている。
  2. サイトの記事は基本的に日付ベースで管理される。

は、特にブログでなくてもこの1.の要件を満たせるものは当時から世の中にあったといえよう。しかしそう言っている間にもブログのパワーは日増しに強くなっていくように感じたので、2004年の2月くらい(?)に妻を説得にかかった。

「これからはブログの時代になるから、今まで付けていた日記をブログに移行しよう」

ここで妻は猛反対。そりゃそうだ。ほとんど毎日付けていた半年弱分を手作業で入力し直すのは相当な作業だ。確か、ここで妻からはホントの泣きが入ったかも知れない^^;大変なのはわかっていたので、半分くらいは私がシコシコ移行して、半分は妻がやった。それでも、2004 年の 1〜3 月の間、3 ヶ月分だけ移行するのがやっとだった (従って、2003/10〜12 の日記はお蔵入りとなっている)。

「世の中絶対にブログになる。後できっとブログにしておいて良かったと思えるときが来るから!」

そう妻をなだめすかして、まぁコレは当時は一種の賭けでもあったわけだ(もし、そうでなかったら妻に申し訳が立たない)が、今(2006 年)のブログ、ブログ、ブログ!!!状況をみれば妻も納得がいくであろう。

  1. 内容に対してコメントが付けられる。

従来は、サイトに訪れて来た人とのコミュニケーション手段として 「掲示板」 というものが必ず個人の HP には付いていたと思う。サイトのコメントをしたい場合はそのサイトのオーナーにメールをするか、掲示板に書き込んでいたのが今までのスタイルである。一方でブログの場合は、個々の記事にコメントが付けられるようになっている。サイトを訪れた人がブログの記事を読んで、何か感想がひとことでもあればすぐに残せるような仕組みになっている。つまりブログ自体が一種の掲示板のような機能も持っているということである。

  1. サイトのデザインとコンテンツがはっきりと別に管理されている。

これは後で触れる。

  1. トラックバックができる。

トラックバックの概念を理解するのは、最初は非常に難しい。そして使いこなすのも難しいが、自分のサイトのアクセス数を増やしたいのなら、自分から積極的に他のブログに対してトラックバックを送るべきである。それも、人気のあるブログがよい。自分のサイトから「トラックバックする」ということは、人気のあるサイトにリンクされるということである。Google の PageRank の仕組みからすると、人気のあるサイトにリンクされているサイトも、また優良とみなされるのである。その結果、Google の検索結果に少しでも自分のサイトが上位に表示される。上位に表示されると Google の検索結果経由でアクセスされる可能性が高くなるわけだ。

ゆたママ家のだいありー を見渡すと、右の方に 「海外で日本のテレビを見る方法 by とつぜんトルコすとーりー」 とある。残念ながらリンク切れだが、「参考までに私のサイトも見てね」 ということで、「とつぜんトルコすとーりー」 さんが、「ゆたママ家のだいありー」 にトラックバックを送ったのである。その結果、「ゆたママ家のだいありー 」 には、特に何もしなくても、「海外で日本のテレビを見る方法 by とつぜんトルコすとーりー」 というリンクが表示されるのである。

  1. RSS で他のサイトやソフトとコンテンツが連携ができる。

これがトラックバックと並んでブログを有効活用する神髄だろう。

を見て欲しい。ここのトップページには日記が部分的に表示されているが、内容としては

と同じものである。それでは、この 2 つのサイトは妻が両方手で入力しているのだろうか?もちろん違うのだ。「ようこそ!ゆたママのお部屋へ」 のサイトは、「ゆたママ家のだいありー」 にある日記の 「データ」 を引っ張ってきて表示しているだけなのだ。これは上の 「4. サイトのデザインとコンテンツがはっきりと別に管理されている。」 からこそ成し遂げられる技で、もし HP を作るときに文章とデザインを一緒に構成してしまったら、文章だけを引っ張ってくるのは実に大変なことなのである。日記のみを原稿用紙に書いた文章を書き写すのと、ファッション雑誌のデザインの文章を書き写すのでは、コンピュータは原稿用紙から書き写す方が得意なのだと考えていただければよい。原稿用紙に書かれた文章は、雑誌のように色や段落(段組み)のような情報がないからである。

さて、「ようこそ!ゆたママのお部屋へ」 は、2006/01/01 に旧サイトからリニューアルしたのである。現在の 「ようこそ!ゆたママのお部屋へ」 は、それ自体がブログであるが、ブログというよりは、 「サイト」 である。ブログは日々の記事を書くのには向いているのだが、HP でアルバムを作ろうとするととたんにその機能が弱いのだ。しかし 「*旧*ようこそ!ゆたママのお部屋へ」 は、旅行記やレシピなどのコンテンツがメインであり、それをすべてブログにしてしまえないこともないが、やはり適材適所なのだ。

今まで 「ようこそ!ゆたママのお部屋へ」 は、妻がすべて自分の手で更新していたのだが、その作業をこれから先も続けて行くとなると大変な時間の消費となる。日記に関しては上でみてきたブログで対応できているとして、旅行記、レシピなどの写真アルバム系のコンテンツは効率よくどう作って行けばよいのだろう?

ここで、2005 年初めから私が注目していた 「コンテンツマネジメントシステム (CMS)」 というものを使うことにした。ブログが簡易ホームページと称されるのであれば、CMS はサイト構築システムといったところか。その CMS は、昨今はフリー(オープンソース)のものもでてきて、だいぶ機能がこなれてきたので、「これは使える」 と確信した。そこで、2005/08 からまずは私が 「ようこそ!ゆたママのお部屋へ」 からのコンテンツをまたもやシコシコ移行した。1/3 くらい移行できたところで妻に話してみた。

「『ようこそ!ゆたママのお部屋へ』を、このシステムに移行したいんだけど」

当然また妻から泣きが入る。

「いや、俺もある程度入れて、残りも協力するから、移行しよう。これからは、ブログじゃなくてこのシステムをみんなが使うようになる」

渋々ながら妻も納得し(たのかどうかわからないが)、少しずつ移行作業も始めて、結局 2005/08 〜 2005/12 の 4ヶ月かけてサイトのすべてのコンテンツを移行した。

こうして新生 「ようこそ!ゆたママのお部屋へ」 は生まれたのであるが、このサイト、

  1. 上の 1. 更新が簡単に行えるようになっているのはもちろんのこと、
  2. 当然上の 6. RSS に対応し、実際に「ゆたママ家のだいありー」と連携しているし、
  3. テーマ機能(ワンクリックでユーザーごとにサイトのデザインを変更する事が可能、上の 4. の効果が劇的に現れる機能である)、
  4. おまけにメンバー管理機能、
  5. そしてメンバーへのポイント機能(メンバーがコメントなどを投稿するとポイントが付く)
  6. 国際化機能 (日本語版と英語版(または、その他の言語)の両方を作れる)

が含まれる。

将来は、こういったシステムをベースにもっと簡単に個人でもサイトが持てるようになると思う。そのヒントがブログを発展させた CMS である(もしかすると、ブログというコトバはずっと残り、CMS の概念がどんどん入り込んで行くのかもしれない)。

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Posted on 2006-02-23 by yas |