インターネットとクルマ社会

インターネットを考えるときはクルマやクルマ社会をメタファ (喩え) として考えるとよい。インターネットはクルマ社会のメタファと言ってよい。

その対応を示すと、以下の通り。

  • クルマ=コンピュータ
  • エンジン=CPU
  • 馬力=CPU のクロック数
  • メモリの容量=室内空間の広さ
  • HDDの容量 =燃料タンクの容量
  • OS=ハンドル等の形状・位置
  • 左ハンドルと右ハンドル=ウィンドウズとマック
  • クルマの鍵=ユーザー名とパスワード
  • エンスト=ハングアップ
  • 高速道路=ISDN または専用回線
  • 一般道 =アナログ回線
  • インターチェンジ=アクセスポイント
  • 料金所 =ゲートウェイ (ルータ)
  • クルマのナンバー=IP アドレス

などなど・・・

こう見ると、IT の世界とクルマ社会は非常によく似ていると言えるのではないだろうか。ここで、クルマ社会にあって、IT の世界にないもの:

  • 交通法規=ネチケット?
  • 年齢制限=該当なし
  • クルマの免許=該当なし

今後は、インターネットも免許制が導入されるのが良いと常日頃私は考えている。

免許は、IC カードにその情報が入っている。どのサイトをアクセスできるかなど、年齢によって制限していく。よってインターネットのアクセスが免許制になれば、IC カードを PC に差し込むことで自動的にアクセスが始まるようにすればいい。逆に、この方が利用者にとってもインターネットにアクセスする際の手順を減らせるのでメリットがある。iモードのケータイにも IC カードを突っ込む。そうすると、iモードが利用可能になるとか、いろいろとアイディアは膨らむ。そして、今あちこちで実験が進められているように IC カードは小銭の財布代わりにもなるだろうし、うちの会社ではその他に社員証、ドアの鍵の役目もしている。また非接触型の IC カードなら定期券代わりにもなるだろう。ついでにクルマの免許も同じ IC カードにしてしまおう。そうすると、IC カードは自分を証明するための ID だけでなく生活の道具となる。

このようなシナリオを強力なカリスマを持つ誰かが推し進めることができれば、もっと簡単な明日がそこに見えるだろう。

インターネットのセキュリティについて考えると、自分の子どもが小学校に通いだしたらどこかの家の悪ガキからヘンな事を教わってきて (概してその悪ガキは実は自分の家の子どもだったりするかも知れないのだが)、いたずらにエロサイト見てたらシャレにならないし、親のクレジットカードの番号だけ知っていれば実際のクレジットカードがなくてもオンラインショッピングできてしまうので、子どもがたくさん買いこんで親に何百万も請求がくる・・・なんてことが起らないとは限らない。そういえばこの間インターネットで取引してて捕まっ
た詐欺師は小学生 (小学生って捕まるのか?) だった。

インターネットにアクセスするためには、現状はある程度 PC やインターネット自体の知識がないといけない。それはほとんど独学か、近くに詳しい人がいて対処しているのだと思う。

クルマが出現したとき、、、これは過去のことの想像になってしまうが、きっと運転免許も交通ルールもなかったに違いない (インドは車線や信号がないので、インド人の話によると日本の道路は超システマチックだそうだ)。そして普及にするに従って、交通ルールや免許などが整備されて来たはずだ。そして、初期のクルマは、エンジンかけるにしてもクルマの先端についているレバーを手でがちゃがちゃ回していたり、走っている最中に急にエンストして止まってしまうこともあったはずだ。おそらく、これだとクルマの中身に関する知識を持っていないと乗れなかったに違いない。

だが、今はどうだろう?

クルマの免許を取ってからボンネットをあけたことがない人も多いはずだ。というか、安定性 (エンジンなどの性能) は各段に向上したので、ボンネットを空ける必要がなくなったと言うのが正しいかもしれない。コンピュータも、このメタファに従えば、将来は OS の安定性が向上して、今頻繁に起っている、Windows が途中で固まって大事なデータが飛んだとか、そういうことが懐かしく思えるときが来るだろう。

免許がないとクルマに乗ってはいけないとルール化されているのと同じように、コンピュータも、いずれそれを使ってることすら意識しない時代が来るせよ、ネチケット (ネットワーク上のエチケット) は学ばなければならない。交通事故を起こしてから交通ルールやクルマの技術を学んでは遅いように、インターネット上で何か問題を起こしたり、自分から問題を引き起こさなくても個人情報が盗まれてしまったり…すなわち問題に引き込まれてしまうことがないようにインターネットを利用する前には、簡単な講習を受ける機会があっていいと思う。今はおそらく、国や政府は誰もこのことの重要性を認識していない。認識していないからこそ、総務庁などのホームページがアタックされてしまうのだろう。私が国会議員ならば、こういったインターネット上の規則をまとめた法案を提出するだろう。

現在のインターネットは、クルマ社会における黎明期と考えれば良いだろう。そして、インターネット社会におけるこの社会の成長モデルに対しては、クルマ社会における成長モデルを参考にすべき点がたくさんあるに違いない。

私はこの考えを熱烈に唱えている人をまだ見かけたことはないので、ほとんど上の内容はオリジナルである。

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Posted on 2000-01-25 by yas |