当たらない天気予報

WetSock というソフトを何年か前から愛用している。

https://www.locutuscodeware.com/wetsock_ss.htm

このソフトは、ウィンドウズのタスクトレイにリアルタイムで今の天気と天気予報が表示されるというもの (シェアウェア、$12。2 都市までの天気は無料で使える) 。

英語版だが、世界中の都市 (3,750都市) がカバーされている。もちろん日本の主要都市の天気はこのソフトで知ることができる。

ずっと気になっていたのだが、なぜかこのソフトの 「今の天気」 と天気予報は正確だ。このソフトはネットのどこかから情報を取ってきてそれを表示しているのは明らかなのだが、先週、その情報はどこから取ってきているのか気になってこのソフトのヘルプを見てみたら、 「NOAA」 だという。これは日本でいうと気象庁のアメリカ版だと思われる。早速 NOAA のサイトを見てみたが、このソフトが NOAA のサイトのどこの情報を見ているのか、情報量が多すぎてさっぱりわからない。それならばとこのソフトが具体的にどこにアクセスしているのかパケットモニタリングという手法を使ってネットワークに流れているデータをハックして調べてみた。

すると東京 (羽田) の場合は、

https://weather.noaa.gov/cgi-bin/mgettaf.pl?cccc=RJTT

だということがわかった。確かに、ここにアクセスするとデータが表示される。しかしこのデータが何を表すのかさっぱりわからない。

さらにネットを調べているうちに、このサイトが提供しているデータには大きく分けて 2 種類あることがわかった。

それが TAF と METAR である。どうもこのソフトはこの 2 種類のデータを元に天気予報を出しているらしい。

では TAF と METAR とはいったいなんなのか、ということになる。おおざっぱに言うと、TAF は予報、METAR は現在の気象報告であることがわかった。

https://www7.plala.or.jp/nsbsc/tip/t_f03.htm

このページが大いに役に立った。

このページの冒頭には以下のように書いてあった。ちなみに、意外なことにこれはウィンドサーファーが書いたページだった。

「的中率高し!こだわりの風予報」

TV や電話の 177 のしろうと向けの天気予報だと、台風のときなど、まるですごい風が吹くような予報を流して一般人を海に行かせないようにする傾向があります。それを信じてウインドサーファは逆に喜んで海に行くわけですが、誇張された予報なんで結局、弱い風だったということが多々あるようです。

航空気象通報はパイロット等のプロ向け予報なので、おおげさに誇張した予報は流しません。また、一般の天気予報だと 「~のちやや強く」 等の予報が出ていても、 「のち」 の時刻があいまいで、喜んで海に行ったけど、結局夕方暗くなってから吹いてきたという失敗もあります。航空気象通報だと航空機の高速性の関係上、時間単位で予報が出るわけで 1 日の中の何時ごろにどういう天気になるかが分かります。

そうか、TAF、METAR は航空気象だったのか!上にもあるようにだから正確だったんだ!!!確かに、WetSock で選べる日本の都市って空港しかなかったよな!! (今まで不思議には思っていたのだが)

ということで、

METAR はほぼ全部の飛行場から出ていますが、TAF は原則として国際線を運行している飛行場のみです。要は何時間もかかって到着する飛行機は到着時の予報がほしいためです。TAF には 12 時間以内の短時間 TAF と、27 時間以内の長時間 TAFがあります。

だということがわかった。

ところで、全世界の空港にはそれを識別するために 3 レターコードと 4 レターコードというものが付いているらしい。3 レターコードとは、IATA が付けているもので、海外に行ったことのある人ならサンフランシスコ=SFO、ロサンゼルス=LAX、ホノルル=HNL、成田=NRT、みたいな馴染みの深い (<?…少なくとも私はいくつか暗記していたから、知ってる人は知ってる…) コードのことである。一方、4 レターの方は、RJTT、RJAA …など、初めてみるものばかりである。こちらは ICAO という組織 (?) が定めたものらしい。TAF、METAR はこちらをつかっている。

◆ ◇ ◆

ここで、自分でソフトを作っていて気付いた点があった。アメリカの主要な空港は、IATA の 3 レターコードに、 「K」 をつけるだけでいいらしい。例えば、サンフランシスコの 4 レター版は 「KSFO」 となる。

日本は、というと、RJ で始まるようだ。沖縄はなぜか RO となっている。で、RJTT が東京国際空港、すなわち羽田なのだが、成田は RJAA、千歳が RJCC、仙台が RJSS、名古屋が RJNN、伊丹が RJOO、関空が RJBB、福岡が RJFFとなっており、どうやら主要都市は RJ に続き 3 文字目と 4 文字目はその都市のイニシャルで同じ文字を重ねているようだ。そういうネーミングコンベンション (名付けルール) があると、こういった文字の羅列は一見複雑そうに見えて暗記する必要がなくなってくる。地方の空港の場合は、その地方空港がある地域の主要空港の、4 レターコードの 1~3 文字目+その地方空港のイニシャルであるようだ。例えば厚木なら、その地方 (関東・東京) の主要空港が RJTT (羽田) であり、この 1~3 文字目 RJT+A (厚木) ということだ。横田はRJTY だ。下総は RJTL なのだが、この 「L」 はまさか 「下」 =Lowということなんだろうか。覚え方としてはそれでいいと思うのだが。

◆ ◇ ◆

さてそれならば、この METAR や TAF なるデータを解析すれば自分でも天気予報のサイトが作れそうである。iモードには天気に関する基本的な絵文字はあったので、そのまま使うことにした。PC からでもケータイからアクセスしたのと同じような細長い画面にした。

また、自分で天気 (予報) のサイトを作っているうちに、knot (ノット) など、どうしても調べなければならないこともあった。それは 「海の上での距離と速度」

https://homepage2.nifty.com/arumukos/unnk/ntclml.html

に書いてあった。読んでみると 「へぇー」 って感じなのだけれど、このページは 「生きていくのには不必要な知識」 のひとつだそうだ。確かに、私も自分でサイトを作ったりしなかったら、knot など一生縁のない単位かも知れなかった (単位としてそういうのがある、というのはもちろん知っているが、 「ノットは秒速 (メートル/秒) の倍の数値」 なんか、別にどうでもいいことだ) 。

ほかにも、雲って 3 次元なんだなあ…つまり空を見上げると 2 次元に広がる雲も、実は (というか当たり前なのですが) 低層~中層~高層が重なりあってできてるんだな、とか、それをウェブの画面で表現するにはどうしたらいいものか…? と、一見するとどうでもいいことに悩むのであった。

というわけで作ってみたのがコレ↓である (作るのに全部で 20 時間くらいかかった)。

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