今回は、援助交際ビジネスについて考えてみたい。
(参考文献:ゴミ投資家のためのインターネット投資術入門)
■援助交際をする女子高生の言い分
「私がどこの誰と SEX しようが私の勝手。その人が好きでお金をくれるんだから、もらったっていいじゃん。第一、誰にも迷惑かけてないじゃん」
この論理を覆すことができるか経済学の視点から考察してみよう。
■現在の援助交際市場の需要と供給の関係
一時、マスコミが援助交際をはやしたてた時期があったが、最近はあまり話も聞かれなくなってきてしまった。これは女子高生の売春がいまさら大騒ぎするようなことでもなくなったということもあるかもしれない。しかしそれ以上に援助交際市場への女子高生の供給が過剰になるとともに、当初のもの珍しさがなくなって消費者=オヤジ側の需要が冷え込んだために売春価格が下落し、リスクの見合うリターンが少なくなってきたからだと考えられる。
■援助交際ビジネスのリスク
「フツーの女子高生が売春に走る」と大騒ぎだったが、マトモな女の子は、最初からそんなことは取り合わな
かったことがわかる。それは彼女たちに道徳心があったためではなく、援助交際ビジネスが、もともとリターンのわりにリスクばかりが大きな取引だったからである。援助交際というビジネスは、実はかなりハイリスクなビジネスである。初期には、もの珍しさから、オヤジと食事に行っただけでお小遣いをもらえることもあったようだが、市場が冷え込んで来ると資本主義の経済法則が働いて、実態を伴わなければお金を払ってもらえないという、当然の状況になってきた。
■供給者=女子高生側のリスク
実態を伴うためには見知らぬオヤジと 2人きりでラブホという密室に入らなければならない。オヤジがさっさと SEX してお小遣いを払ってくれれば良いが、そのオヤジが変態や変質者だったりすると、かなり悲惨なことになる。場合によっては首を締められたり、ナイフで切り刻まれたりするかもしれない。外見から他人の性的嗜好を判断することはまず不可能だから、これは大変危険な賭けである。その上、普通の SEX で済んだとしても、無事にお小遣いをもらえるという保証はない。事実、さんざんやりたい放題した後で、「女子高生が売春していいと思っているのか。親が泣いているぞ。しっかり勉強しろ」と説教して 1円たりとも払わないオヤジが続出して、援助交際市場は一気に崩壊してしまった。援助交際のビジネスでは法的な支払い義務を負わない以上、小遣いを払わずに説教するというのが消費者=オヤジの合理的な行動であるから当然ではある。
このようなリスクをヘッジしようと、女の子たちが女子高生専門のホテトル業者と契約するケースも増えたようだが、その場合は業者に売上をピンハネされるため、リスクの軽減に伴ってリターンも減ってしまう。その上、性病を伝染されたり妊娠したりするリスクもあるから、とうていリスクに対して割が合わない。
■援助交際のビジネスモデル
以上より、援助交際のビジネスモデルは、そこに仲介業者を挟むとリスクを軽減できる代わりに大幅にリターンが減ってしまうため、できる限り高いリターンを望むためには 1対 1の交渉が基本であり、このような仕組み=モデル自体がハイリスク・*ローリターン*な取引であったことがわかる。たとえハイリターンであったとしても依然としてリスクも高いので、このように考えると、マトモな女子高生は、道徳やこのような経済理論を持ち出すまでもなく、魂に良かろうが悪かろうがこのような取引には手を出さないだろう。
■どのような女子高生が援助交際市場の供給者となるか
次の 2つのケースが考えられる。
貧乏というのは相対的なものである。日本のような豊かな社会で、そもそも高校に通うことができるくらいの女子高生が売春しなければ貧乏であるというのは考えづらい。日本のごく普通の女子高生は貧しいアジアやアフリカの国に行けば十分に豊かだが、上から下までブランドものを身に付けるのが当たり前のお嬢様学校ではただの貧乏人である。こうした(日本国内で相対的な)貧乏女子学生がシャネルによって自己実現しようとするときに、初めて援助交際のハイリスクも引き受けるに値するものになる。
実際はこのように自分の置かれている状況やリスクを正確に把握して援助交際市場に自分自身を投機するというのは考えづらく、ほとんどの場合はブランドに憧れる、頭が悪くてリスクの所在がわからない女の子が主要な援助交際の供給源となる。だいたい、ブランド品で自己実現して(相対的に)本当の金持ちに対抗しようとすること自体が頭の悪い証拠だったりする。
■まとめ
援助交際のビジネスモデルは「リターンに対してかなりのハイリスクである」ため、この 「リスクを補って余りあるほどの利益が女子高生側にもたらされ続かない限り、援助交際は (女子高生にとって) 取引するに値しないビジネス」 である、ということになる。