2000/03/02 日経朝刊 1面コンビニ進化論▽下より:
▼セブンイレブン基礎データ:
-全店売上高は推定で約 1兆 9,650億円 (前年同期比6%増)
※ダイエーは同 2兆 1,800億円 (同 7%減))
→その差約 2,150億円は 2001年 2月期 (1年後) に逆転する見通し
-年間販売数量
電話などのテレコムの世界において、電話会社は顧客がたとえばケータイ電話で「誰に、そしてどのくらいの時間、電話したか」を調べれば、それを元に頻繁にケータイで連絡を取り合うグループ───すなわち、友だちネットワークを把握することができる。
そして、いったんグループがわかれば、電話会社はこのグループ内の顧客に対して、グループ意識を持たせ
たプロモーション (販売促進) やサービスを実施することで、自社に利益をもたらす (ロイヤルティ) 顧客
を育てようとする取り組みが可能になる。
たとえばアメリカの MCI のフレンズ & ファミリーなど、現在ではテレコム系を中心とした多くの企業が取り組んでいる。このグループ特定には、近ごろはリンク分析 (Link Analysis) と呼ばれる方法が使われることが多い。
リンク分析とは、電話通話、FAX 通話、メールなど 2 者(または 1 対多)の間に発生する通信データの頻度に注目し、n 者間のつながりをグラフによってビジュアル化することで、互いに関係を持っている特定グループを発見する方法である。しかしこの方法では、特定のグループを特定できたとしても、そのグループにおいて他に影響を与えやすい 「オピニオンリーダー」 的人物の特定が難しい。そのため、特定されたグループの中で、特に 「誰を?」 中心にプロモーションを行っていけば良いか?の判断がつきにくい。より効率的かつ効果的なプロモーションを実施するためには、このグループにおいて最も影響を与えるであろう人物を特定することが望まれる。
この「オピニオンリーダー」の存在は、電話会社にとって大変重要である。なぜなら、オピニオンリーダーが解約してしまうと、それに伴って、そのグループ内の顧客も次々にやめてしまう可能性が大きいからである。
たとえば、 PHS とケータイの関係を考えてみよう。 PHS とケータイの付加サービスであるショートメッセージは互換性がない。ここで、今まで主に PHS を利用していたオピニオンリーダーらが、「来月からケータイに変える」 と言い出せば、グループ内の顧客らが「私も変えようかな」ということになる。 PHS かケータイどちらを買おうか迷っている潜在顧客(すなわちこの場合オピニオンリーダーの友だち)に対しても、「オピニオンリーダーがケータイを使っているから」という理由でケータイにする可能性がある。 PHS とケータイはもともと方式が違うが、ケータイ同士でも、日本ではドコモの iモードと、cdmaOne の違いがある。
このような「オピニオンリーダー」、そしてこのリーダーを中心とした「グループ」が自分の持つケータイ・PHS をどこの会社・方式にしようか、相談するようなメールのやりとりを私は目の当たりにしたことがある。実際の経験からもこの理論は現実性がある。
◆ ◇ ◆
以下は、そのオピニオンリーダーを割り出す手法である。
ゲーム理論で扱われるシャプレイ値の考えを導入することで、n 者間の関係を表すグラフの中で、最も重みのある (他に影響を与える) ノードを発見する。以下の特定グループ抽出手順、および、グループ内オピニオンリーダ抽出手順。
1991〜1992年のことだから、もう随分昔のことだが、学生時代、経営分析の授業が好きだった。ここで上妻教授は、いろいろなことを教えてくれた。たとえば、「教授自身は、セガの株を持っている」、「ロートの子会社、小野薬品工業が良い」 など、株に関することも教えてくれた。エコノ研のポートフォリオにこれらの株が組み入れられているのも(しかも、株価が下がって売るに売れずにそのままホールドしているのも)、この教授の影響である。
また、グリコ森永事件で、森永は多大な被害を被ったが、それを救ったのはファストフードの 「森永 LOVE」 だったとかという雑学的なこと、そして、経営においては、常に 「守る」 「攻める」 だけでなく、「何もしない選択肢」 もありうる、と言っていた。これは株式投資においても考慮すべき点だと思っている。常に、売り買いするのではなくて、「今はあえて何もしない」 と、意識的に 「何もしない」 ことを選択肢に選ぶのである。
株式投資において(またはそうでなくても)、企業を評価する上で一番重要な点は何であろうか。
教科書通りだと、
などの 3 つの観点から、財務諸表や損益計算書から計算できるような 「指標」 を算出して、その数字がよければ良い、ということになる。確かに、これらは大変重要であり、企業を評価する上では前提条件のように思う。私は、以前から、一番大切なのは、
だと考えている。その観点から投資すべき銘柄を選ぶ。
もし、この2つに加えるなら
というものが入るかもしれないが、経営者のビジョンなどは主観的なものであり、なかなか数字で出したりしての客観評価が難しい。が、やはり、経営者のビジョンが明確な企業は、必ず成長が約束されている。
この 3 点を兼ね備えた企業がマイクロソフトであった。
マイクロソフトはソフトウェアを作っているから、技術力とか、そういうもので成長したのだと勘違いしている人も多いかもしれないが、ウィンドウズを使っていれば誰でも経験のあるように、ウィンドウズ はよく死ぬ ─── このことが端的に示すように、マイクロソフトのソフトウェアの品質は決して良くない。技術力もそんなに高いとは思えない。GUI の「ウィンドウ」だってオリジナルはMacだった。技術、革新性で言ったらアップルの方が上だった。しかし、マイクロソフトはマーケティングがうまかった。研究開発投資もした。そしてビルゲイツの「世界のすべてのコンピュータにウィンドウズを」というビジョンが加わり、ソフトウェアの巨大帝国を作った。
経営者のビジョンに関して言えば、たとえばソフトバンクの孫社長のビジョンは非常に明確で、「IT の各分野でトップになる」 である。ビルゲイツのビジョンは、「世界のすべてのコンピュータにウィンドウズを」 だった。ドコモの社長は 「人、ペット、宅配便、すべてのものに携帯電話を」 である。人間というのは、目標が定まると、それに向かって走るものである。ビジョンが明確で、それに向かって走っている人は尊敬する。だから自分もそうなりたい。
一方でそれと共に企業の成長をうらなう上では、研究開発投資…すなわち、革新的な新製品開発が欠かせな
い。
だから、私がポートフォリオを組む場合は、まずこれらの 2 つの点を最優先するから、銘柄を選ぶのは比較的簡単である。この2点がしっかりしている企業は財務諸表も概ねいいことになっている。財務諸表が良いから経営者のビジョンと研究開発力が良いのではなくて、財務諸表は後からついてくるものだ。
昨今の IT 関連株の異様な上がり方を鑑みると、従来の収益性、安定性、成長性・・・これらの指標だけでは到底説明できない状況になっている。
やはり投資家は、経営者のビジョンと研究開発力という点を評価しているのだ。
日本人は、もっともっと外国人に対して誇りを持つべきだと思う。日本人が、外国人とビジネスをしたりコミュニケーションを図るために必要なことはなんだろうか?
私は、以下の2つに集約されると思う。