CRM

今回は、CRM (カスタマー・リレーションシップ・マネジメント) のお話。

私がこの言葉を聞いたのは、ちょうど去年の暮れあたりからだったから、1 年前くらいからだろうか?当時は実は、打ち合わせでこの言葉が出てきても何のことかまったく意味がわからなかった。本当に突然ふってわいて出てきたような言葉だった。ある時点からたくさん聞くようになった。それが 1 年くらい前だと思う。CRM の考え方は、ひとことで言うのもなかなか難しいのだが、私なりの理解だと、 「新規顧客よりも、今までいる既存の顧客のほうを大事にしていこう」 という企業のマーケティングのあり方のことである。この背景には、モノが行き渡り、市場が成熟した社会では、顧客のパイ (顧客数) を拡大するだけでは利益をあげることができない、というのがある。例えばクルマなら、私たちが生まれる前ならばクルマを持っている家庭とそうでない家庭 (持ちたくても経済的にもてない家庭) があったが、今の日本では当時と比べるとクルマの普及率は格段と上がったと思う。これは、家電、、、すなわち、冷蔵庫、電子レンジ、テレビ、洗濯機、電話などもあてはまる。つまり、誤解を恐れずに言えば、欧米+日本ではモノはほとんど行き渡ってしまったと言ってよいだろう。

そうなると、新しく顧客を獲得するよりも、優良な (=会社に利益をもたらす) 既存の顧客を維持する費用の方がはるかに安い、という考え方がでてきた。 「新規顧客獲得には既存顧客維持費用の 7 倍のコストがかかるといわれている。そこで優良な顧客を囲い込む戦略が必要となってきた」 これが、CRMが出てきた背景である。

コンビニのマーケティング (2)

コンビニは、死に筋の商品をいち早く破棄し、売れ筋の商品ばかりを並べる。これは王道。

が、、、、死に筋の(売れない)商品にも、実は大事なものがある。

コンビニに行くと、ロウソク軍手が置いてあったりする。軍手はまだしも、ロウソクは、、???って感じだ。でも、これはたとえロウソクがガンガン売れる商品でなくても、「ロウソクも置いてあるから、この店は安心!!!」 という意識を客に与える効果を狙っているのだ。

これは、マッカーシーの 4P の、Product(製品・商品政策)=マーチャンダイジングの分野。

エコノの法則第2:<br />「1台見たら 10 台」

「1台見たら 10 台」

あなたがもし街を歩いていてバンパーの壊れたままのクルマを見たら、それは偶然ではない。

バンパーが壊れたままの理由を考えてみて欲しい。バブルのときはどうだっただろう?少しくらいのキズでも、直していたはず!なぜなら、みんなピカピカのクルマを乗っていて、キズのあるクルマは恥ずかしいからだ!ところが、不景気となると、少しくらいのキズや、ぶつけた後は放っておく。

これは、アメリカのシカゴに住んでいた私の友人宅へ 1998/07 に遊びに行ったときに聞いた話からもインスパイアされる。

私 「今、アメリカは本当に絶好調なのか?」

友人 「うんそうだと思う。10 年前、住んでいたけど、そのときは、ちょっとくらい壊れててもみんな乗ってたけど今は新車ばっかり」

また、例えばもしあなたが街でヴィッツを見かけたら、やはりそれも偶然ではない。ヴィッツが売れているという証拠である。

新車や、とくにその新車が白いクルマで、、それらをたくさん見かけるようになったら、それは景気が上向いてきた証拠である。白いクルマはどんな色のクルマよりも最も汚れが目立つ色 (クロはまぁ、特別として) であり、洗車などの維持費もたくさんかかるからである。バブルの頃は、トヨタで言えば 「スーパーホワイト」 (のマークⅡ) しかなかったと言っていいだろう。バブル崩壊後は、白いクルマはほとんどみかけなくなり、消費者心理を象徴するような色物系が増えたはずだ。

どんなクルマが走っているかは、街に出て目で見て感じ取れる重要な景気指標である。

コンビニのマーケティング (1)

コンビニはマーケティングの塊である。

同じコンビニが、さっきもあったのに、ここにも!?なんでこんなに近いところにあるんだ!?ってのが結構ある。実は、これには理由があって、なるべく街の中の離れたところにコンビニを出店するよりも、近くに出店する方が、トラックによる配送コスト(つまりはガソリン代と人件費)を安くできるからだそうだ。少量多品種を扱うコンビニは顧客のニーズに応えるために、1日に何度も店の間を商品を積んだトラックが行き交うことになるためだ。ある地域で、密集してコンビニを出店して行く…

これをコンビニドミナント理論という。

レバレッジ

これからの時代(というか、最近の傾向だが)のキーワードは、「レバレッジ」 である。

レバレッジ=Leverage とは、辞書にはてこの力、(目的達成のための) 効力、影響力…とあるが、ここで私がいうレバレッジはてこの力の意味でよい。

てこの力とは、当然のことながら、A と B の間で、A をちょっこっとだけ動かすと A に対して B はかなり大きく動くということである。

現在の IT (Information Technology=情報通信) 革命の中においては、労働における生産性向上も、技術革新、現在の株価の上昇 (デリバティブなど) には、レバレッジが働いていると考えている。これを定式化したりこの理屈を理論的に解明した人はまだこの世にいないし、私には到底理論的に説明できる能力などないが、今の世の中はレバレッジが働く場面が多くなったのは明らかだと思う。