素晴らしい。彼は死に対しても正直に向き合っている。
以前より私は死に対しては、以下のような考え方を参考にしている。
ラズマス・ダーウィン(ダーウィンのおじいさん)は、有機体的幸福というのを考えた。
生き物の幸せは、個体の自己放棄、つまり死ぬことである。むしろ生き物の使命は、死んで他者に道をあけてやることである。
自由競争であろうが都市間競争であろうが、ナチュラル・セレクションによるサバイバル (生き残り) は、実のところ 「死に残し」 の陰画にすぎない。 《生命》 保険みたいなもので、死んでから得られるので、本人には得られない。この死が残すのは 「隙間(エンプティ・スペース)」 であって、資産でないが(が、有限の食料・資源からの引算を考えれば同じこと)。
ジョブズも言及しているように、死は誰もに平等に与えられる。決して逃げることはできない。同時に私は誰もがこの世に産まれて与えられた使命があると思う。
天国に行きたいから死ぬのではない。その死を迎えるまでに、与えられた使命を粛々とこなすのが生だと思う。
外付けの HDD を買ったことがある人ならわかると思うが、買ってきたばかりの HDD をウィンドウズや Mac で容量を表示させると、カタログ値よりも実際にはHDDの容量が例外なく少ない。大容量になればなるほど誤差が大きくなり、期待していた容量よりも少ないという現象が起きる。
以下、長文につき最初に結論を述べておこう。─── それはメーカーと OS との間での表記の計算方法の違いだった。私の見解では誇大広告ではないかと思う。
たとえば 160GB の HDD を買ってきた場合、容量が空の状態で 149GB である。11GB はどこに行ったのだろう?
これはなぜなのだろうか?私はずっと、容量が大きくなればなるほど HDD 自体を管理する領域が増えていき、その分減るのだと思っていた。
が、しかし!!! それは単なる私の思い込みだった。今日、その真相を発見した。
答えは、計算方法の違いだそうだ。つまり、メーカーが謳うカタログ値はデシマル(10進数)表記
だったのだ。これは、バイト容量を 1GB = 1,000,000,000 バイトで計算したものだ。しかし、実際にはコンピュータはバイナリ(2進数)で表記するため、1GB=1,073,724,841 バイトで計算している。
デシマルで計算すると、単純に計算は以下のとおりとなる。
160GB(表記)= 160GB バイト = 160,000,000,000 / 1,000,000,000 バイト
一方でバイナリで計算すると、
160GB(表記)= 149GB バイト = 160,000,000,000 / 1,073,724,841 バイト
となり、両方とも計算は合っているのだが、バイナリ表記は計算時の分母が大きくなるため、カタログ表記よりも少なくなるのだ。
でも、これって・・・・・・・・・
消費者をなめてませんか?広告の不当表示だと思う。以前 ADSL の速度が誇大だとの話があり、公正取引委員会が是正措置をとったが、この HDD の容量表記も同じレベルであると思う。メーカーは都合のいいようにデシマル表記を使っている。
HDD と同じ記憶装置である 「メモリ」 の方は、1GB のメモリの場合でも、カタログはデシマル表記でも実際はバイナリで実装されている。HDD とは逆に、メモリの場合は消費者は買ってきた容量よりも余裕があるので、常に嬉しい思いをしているという例もある。
では、なぜ今まで話題にされなかったのだろう?それは、技術者の私でさえ、今頃気づいたくらいだし、真相を知らないだけなのだろう。公正取引委員会にチクったら面白いことになるかも。
以下に、参考までに主な容量の対応表を載せておく。
デシマル
バイナリ
80 GB
74.51 GB
100 GB
93.13 GB
120 GB
111.76 GB
160 GB
149.01 GB
180 GB
167.64 GB
200 GB
186.26 GB
250 GB
232.83 GB
300 GB
279.40 GB
320 GB
298.02 GB
リンクは「Why is my drive displaying a smaller than expected capacity than the indicated size on the drive label?」 (Western Digital)
1997 年頃だったか、マイクロソフトが 「ActiveX」 というインターネットの新しい技術を発表した。今我々が使っているインターネットエクスプローラーという名前のブラウザも、この頃初期のバージョンが発表された。
我々技術者は、その新しい技術を使ってソフトを開発しなければならなくなった。マイクロソフトのずさんなセキュリティのために、全世界のウィンドウズを使うユーザーは現在、ウィルス付きメールや月に 1度のパッチを充てなければならないという煩わしさに悩まされ続けているが、すべてはここから始まった。
この頃、マイクロソフトはそれぞれのソフトウェアに世界で一意(=ユニークな)番号を与えるから、それを使え、と言い出した。
世界中のプログラマは、個人や企業に関わらず、ウィンドウズのプログラムを作ったら、そのプログラムを識別するために番号を付けるのだ。
ちょっとパソコンに詳しい人なら、ウィンドウズの 「レジストリ」 というコトバを聞いたことがあるだろう?実は、そこにソフトの番号がたくさん貯められているのだ。
しかしすぐにこんな質問が思いつく。
「いったい誰がどうやって他のプログラムとバッティングしないように番号を振るのか?」
まず自分で勝手に振ったら、世界で無数にあるウィンドウズのソフトの番号とバッティングしそうだ。それは容易に想像できる。
では、マイクロソフトにいちいち申請をして番号を振ってもらうのか?オンラインですべて自動で行われたとしても、ちょっと面倒だ。マイクロソフト自身もそんな番号を管理するのはコストがかかって仕方ないだろう。
実はマイクロソフトは、自社のソフトウェア開発のためのソフト(ソフトを作るソフト)が、自動的に番号を振るから、それを使え、といっていた。
そんなことが可能なのだろうか?世界で、本当に自分しか所有しない番号、、しかも誰ともその番号を調整しないで・・・
このとき、ウィンドウズのソフト開発に非常に詳しい同僚に質問してみたが、実は上の説明をされただけで、どうしてそうなるのかまでは説明してもらえなかった。しかし、今ならその仕組みを説明できる。ヒントは、件名にある「ハッシュ」だ。まずはググってみよう。
上では、マイクロソフトが「世界で唯一の番号を各人が作ったソフトに自動的に割り振る」という話をした。
実際にそんなことは可能なのだろうか?答えは、「事実上」 可能なのである。事実上と、枕詞がつく理由は、「十分に実用的に耐えうる」からである。
それには、このメールのタイトルのハッシュというものを使う。
中高で 「関数」 を習ったが、ハッシュとは関数の一種だ。
この関数は特殊で、A というものを入れると B というものが出てくるが、一度 A を B に変換してしまうと、元のAには絶対に戻せない、というものだ。戻せないというより、元のAは何だったかわからない、といった方が正しい。
たとえば 1234 を入力すると 7890 が出てくるような感じである。7890 から 1234 を復元する方法はこの世に存在しない。1234 を入力すると必ず決まった値である 7890 が出てくるもので、1234 を入力したときの 7890 という値は、この世の中で(おそらく)あなたの他に誰も 7890 という値を持っていないものである。
では 1234 から 7890 どうやって計算するのか?というと、複雑な計算手順が必要らしく、実は私にもわからない。ひとつ言えるのは世界で唯一の数字はどんなものか?と少し考えると、「時刻」 があると思う。その計算をした瞬間の時刻をそのまま数値化すれば、あなたとまったく同じ計算をした人はおそらくいないだろうから、時刻は唯一であると言える、というものだ。
しかしやはり本当にその瞬間に全世界で同じ計算をした人が存在しないかと言われたら、ひょっとしたらいるかも知れない。だから、時刻という値はハッシュであることの最有力候補であるけれども、もっともっとバラバラな数字が必要だ。だからハッシュを計算する関数、つまりハッシュ関数はもっと複雑な計算を行い、その出力が世界で唯一であることを数学的に保証する、というものなのだ。
ハッシュは、乱数(ランダムな、バラバラな数字)に見えて、実はインプットが同じなら出力も常に同じ、という性質を持っている。
ではハッシュは日常生活でどんなところに使われているのだろう?
実はもっといろいろな応用があるが、ちょっと難しかったと思うので今回はここまで。
私は、なんと、PC のキーボードの一番上の数字キーをタッチタイプ※できる。
パラダイムシフトで忘れてはならないのは、アップルが開発した iPod の存在だろう。これは、手のひらサイズのウォークマンタイプの 「箱」 に、何千曲も入れることができるようになったものだ。この箱の中には、東芝製の薄型 HDD が入っており、技術的なブレークスルーは日本の企業が開拓したもので、アップルはそれをデザイン (設計) し、マーケティングし、出来上がった成果物を市場に流通させた、といってしまえばそれまでだろう。というのも音楽をヘッドフォンで効くことにはウォークマンの時代からなんら変わっていないから、これだけ取り上げてもパラダイムシフトは実感しにくい。
しかし、 iPod とセットの 「iTunes」 というソフトは、このソフトを通して、楽曲販売の 「店」 を開くことに成功した。
以前、誰か (スタパ斎藤?) が、、音楽というものは 「音」 なのだから、それが記録されている形態は、レコードでも、 CD でも、MD でも、ビデオテープでもよい。それが再生できればよい。であるから、目に見えない音楽は、目に見えるものに記録しておく必然性は、技術的な背景以外には、何もない。つまり、ネットが発達すれば、音楽というものはすべて電子化 (データ化) してネットの中に置いておけるのだ。…言っているのをウェブだか雑誌で読んだことがある。
まさに時代は、アップルの言う 「Goodbye MD」 となっている。つまり、音楽はネットにいつでも置いておき、人間はそれを自由に引き出すことが可能となった。もう少し言うと、このアイディアは誰でも思いつくものだが、実用になり、我々の生活に入り込んで来た、といって良い。
さて、今回海外赴任するにあたり、私自身のもっている CD をどうしようか、ということになった。枚数で言うと (後から分かったのだが) 300 枚くらいあった。これを全部アメリカに持って行くこともできるが、果たしてすべてアメリカで聴くだろうか?まぁ、音楽というものは不要不急のものであるから、別に全部持って行かなくてもお気に入りの CD を選んで持って行けばよい、ということに普通はなると思う。
しかし、時代は変わったのだ。
どうするかと言うと、 CD 300 枚に刻んであるデータをすべて PC の HDD の中に入れてしまうのである。入れるというのは至って簡単で、Mac に CD を入れれば自動的に曲名をインターネットに検索しに行き、さらい自動的に HDD に曲名 (もちろんアルバム名、アーティスト名も) 記録してくれる。記録は、 CD 1 枚につき遅くて 10 分くらいだろうか。記録が終わると自動的に CD が Mac から出てくるから、次に記録する CD と入れ替えて行けばよい。単純作業ではある。ちなみに、この 「曲名をネットで検索」 というのは CDDB といい、世界中の CD の情報が集められているようだ。これはすごくよくできていて、私がインドで自分のお土産に買って来た CD とか、日本で路上で演奏していた人たち (デビューしてない) の CD まできちんとアルバム、アーティスト、曲名を当てていた。
今までは、あまりにもデータの量が多過ぎて*技術的には可能だがコスト的に (それだけ大容量のデータを入れる HDD を買ってこなければならず、それは高価だった) 実用面から言って入れられなかった*ということだ。しかしこれは、今年の 4 月 (2004/04) から、あまり IT 業界の中でも多く取り上げられていないが、アップルは 「ロスレスエンコーディング」 という、データを 「圧縮」 する技術 (圧縮=つまり、膨大なデータを、縮める技術) を開発した。 「MP3」 という言葉を聞いたことがあると思うが、デジタルオーディオの世界では音楽を聴くといえばこの MP3 という形式のファイルを指すことになっている。MP3 とは、MPEG LAYER3 の略で、音 (音楽) を人間が分からない程度に間引いて、データを圧縮する方式である。誰でも目の錯覚とか経験したことがあると思うが、耳も錯覚をする。その錯覚を利用すると、1つの曲のすべてのデータを記録しなくても、 「音を間引いて記録」 することができるのだ。この理論をもっと詳しく知りたければ、ググってください。
で、アップルの 「ロスレスエンコーディング」 とは、 CD の音質はまったく崩さず、データを圧縮するというもので、 CD から MP3 のデータに変換すると、どうしても音質が CD よりも悪くなるという欠点があったが、 「ロスレス」 の方では、そうならずに圧縮できるようになったのだ。この圧縮率は、元の CD のデータ (オーディオ CD は通常 640MB) よりも 20、30%〜50%くらいまでだと思う。なので、HDD の容量も、まともに CD をすべて HDD に記録するよりも圧縮率の分だけ少なくて済むので、コストもそれだけ安くなるということだ。
で、結論。300 枚の CD は、結局、1 つの HDD になった。この HDD は、https://www.iodata.jp/prod/storage/hdd/2003/hdl-u/ で、約 42 (W) × 265 (D) × 131 (H) mm (突起物含まず) = 1,458、質量約 1.4kg である。 CD は、142 x 125 x 10 mm = 177.5
(177.5 × 300 =53,250) よって、体積比にして1/36のスペース節約となった。重さに関しては、測ってないのでよくわからないけど、ちょっと大きめのビデオテープくらいの大きさの HDD にして、片手で 300 枚の CD が持てると思ってください。日本で整理していたときは、プラスチックの衣装ケースみたいなのに 60 枚ずつ入れてそれが 5 箱あった。
また、副次的なこととして、iTunes に曲を入れると、自動的にちょっとした統計情報を出してくれる。約 300 枚の CD は、今私が持っている曲数で言うと 3,358 曲であり、これを全部聴く (もちろんぶっ続け) には、10日と 8 時間 36 分 22 秒かかるらしい。 (この中には数枚か妻の CD が入っているのだが) 自分の人生でこれだけの曲は聴いてきたのだな、と再確認した。これだけ聴けばプロフィールの趣味の欄に 「音楽鑑賞」 と書いてもいいような気がする。
そして、HDD の容量は、96.60GBだから、この容量を納める HDD は、今は 1.5 万円 (カカクコム 調べ) も出せば、おつりが来るだろう。
ちなみに、300 枚の CD は、今はトランクルームに預けて来ている。