目線は低く、目標は高く。

かつて 同僚 だった中国人の彼からのウンチク。

  1. 開発はやってはいけない。
  2. プロジェクトは自分でコントロールできること。
  3. 目線は低く、目標は高く。

1. は、私が取り組んでいたケータイ向けのプロジェクトでの教訓。(一般に IT の大企業は) 開発すると各スタッフのコストが高過ぎて、この分野ではベンチャーには勝てない。

2. は、やりたいことがあるのにコントローラブルでないプロジェクトは失敗する。

3. は名言だろう。お客様や、チームのメンバーの目線に合わせて行動する。
しかし目標は限りなく高く!!

成功した社会主義

  同僚で、私よりも入社年度は遅く歳下だが、尊敬している人物がいる。彼は中国人。早稲田の大学院を出ている。歳はそんなに変わらない、2002年は彼と一緒に仕事をしていた。某野球球団との IT 恊働も彼がいなければ成し遂げられなかった。

  イケイケで仕事をする。彼は云う、「中国にはこんなことわざがある。」

『船が通れば、橋は開く』

  これは、

大きな船が開橋の前を通れば、だまっていても(許可なくても)橋は開かざるを得ない。

という意味だそうだ。

  つまり良くいえば、「意志(志)あるところに、道は開ける」ということだし、悪くいえば 「やったもの勝ち」 ということだろう。

  以前彼に、

「なぜ就職先にうちの会社を選んだのか?君なら、もっと外資とか他に給料の高そうなところに行けただろう」

と尋ねたことがある。

  彼は答えた。「外資も考えた。外資か、日本の会社がいいと思った。日立とかこの会社は、日本の会社。だから、選んだ。なぜなら、日本の会社のことをよく勉強できるから。中国に帰ったら 『自分は日本の会社(のしきたり)に詳しい』 と言える。」

  目から鱗。その中国人である彼は、ことあるこどに

日本は中国よりも社会主義。(年金問題など)こんな社会主義の国はない。一方で(今の)中国は、日本よりも資本主義だ。

と言っていた。

iPod 革命 (1)

パラダイムシフトで忘れてはならないのは、アップルが開発した iPod の存在だろう。これは、手のひらサイズのウォークマンタイプの 「箱」 に、何千曲も入れることができるようになったものだ。この箱の中には、東芝製の薄型 HDD が入っており、技術的なブレークスルーは日本の企業が開拓したもので、アップルはそれをデザイン (設計) し、マーケティングし、出来上がった成果物を市場に流通させた、といってしまえばそれまでだろう。というのも音楽をヘッドフォンで効くことにはウォークマンの時代からなんら変わっていないから、これだけ取り上げてもパラダイムシフトは実感しにくい。

しかし、 iPod とセットの 「iTunes」 というソフトは、このソフトを通して、楽曲販売の 「店」 を開くことに成功した。

以前、誰か (スタパ斎藤?) が、、音楽というものは 「音」 なのだから、それが記録されている形態は、レコードでも、 CD でも、MD でも、ビデオテープでもよい。それが再生できればよい。であるから、目に見えない音楽は、目に見えるものに記録しておく必然性は、技術的な背景以外には、何もない。つまり、ネットが発達すれば、音楽というものはすべて電子化 (データ化) してネットの中に置いておけるのだ。…言っているのをウェブだか雑誌で読んだことがある。

まさに時代は、アップルの言う 「Goodbye MD」 となっている。つまり、音楽はネットにいつでも置いておき、人間はそれを自由に引き出すことが可能となった。もう少し言うと、このアイディアは誰でも思いつくものだが、実用になり、我々の生活に入り込んで来た、といって良い。

さて、今回海外赴任するにあたり、私自身のもっている CD をどうしようか、ということになった。枚数で言うと (後から分かったのだが) 300 枚くらいあった。これを全部アメリカに持って行くこともできるが、果たしてすべてアメリカで聴くだろうか?まぁ、音楽というものは不要不急のものであるから、別に全部持って行かなくてもお気に入りの CD を選んで持って行けばよい、ということに普通はなると思う。

しかし、時代は変わったのだ。

どうするかと言うと、 CD 300 枚に刻んであるデータをすべて PC の HDD の中に入れてしまうのである。入れるというのは至って簡単で、Mac に CD を入れれば自動的に曲名をインターネットに検索しに行き、さらい自動的に HDD に曲名 (もちろんアルバム名、アーティスト名も) 記録してくれる。記録は、 CD 1 枚につき遅くて 10 分くらいだろうか。記録が終わると自動的に CD が Mac から出てくるから、次に記録する CD と入れ替えて行けばよい。単純作業ではある。ちなみに、この 「曲名をネットで検索」 というのは CDDB といい、世界中の CD の情報が集められているようだ。これはすごくよくできていて、私がインドで自分のお土産に買って来た CD とか、日本で路上で演奏していた人たち (デビューしてない) の CD まできちんとアルバム、アーティスト、曲名を当てていた。

今までは、あまりにもデータの量が多過ぎて*技術的には可能だがコスト的に (それだけ大容量のデータを入れる HDD を買ってこなければならず、それは高価だった) 実用面から言って入れられなかった*ということだ。しかしこれは、今年の 4 月 (2004/04) から、あまり IT 業界の中でも多く取り上げられていないが、アップルは 「ロスレスエンコーディング」 という、データを 「圧縮」 する技術 (圧縮=つまり、膨大なデータを、縮める技術) を開発した。 「MP3」 という言葉を聞いたことがあると思うが、デジタルオーディオの世界では音楽を聴くといえばこの MP3 という形式のファイルを指すことになっている。MP3 とは、MPEG LAYER3 の略で、音 (音楽) を人間が分からない程度に間引いて、データを圧縮する方式である。誰でも目の錯覚とか経験したことがあると思うが、耳も錯覚をする。その錯覚を利用すると、1つの曲のすべてのデータを記録しなくても、 「音を間引いて記録」 することができるのだ。この理論をもっと詳しく知りたければ、ググってください。

で、アップルの 「ロスレスエンコーディング」 とは、 CD の音質はまったく崩さず、データを圧縮するというもので、 CD から MP3 のデータに変換すると、どうしても音質が CD よりも悪くなるという欠点があったが、 「ロスレス」 の方では、そうならずに圧縮できるようになったのだ。この圧縮率は、元の CD のデータ (オーディオ CD は通常 640MB) よりも 20、30%〜50%くらいまでだと思う。なので、HDD の容量も、まともに CD をすべて HDD に記録するよりも圧縮率の分だけ少なくて済むので、コストもそれだけ安くなるということだ。

で、結論。300 枚の CD は、結局、1 つの HDD になった。この HDD は、https://www.iodata.jp/prod/storage/hdd/2003/hdl-u/ で、約 42 (W) × 265 (D) × 131 (H) mm (突起物含まず) = 1,458、質量約 1.4kg である。 CD は、142 x 125 x 10 mm = 177.5
(177.5 × 300 =53,250) よって、体積比にして1/36のスペース節約となった。重さに関しては、測ってないのでよくわからないけど、ちょっと大きめのビデオテープくらいの大きさの HDD にして、片手で 300 枚の CD が持てると思ってください。日本で整理していたときは、プラスチックの衣装ケースみたいなのに 60 枚ずつ入れてそれが 5 箱あった。

また、副次的なこととして、iTunes に曲を入れると、自動的にちょっとした統計情報を出してくれる。約 300 枚の CD は、今私が持っている曲数で言うと 3,358 曲であり、これを全部聴く (もちろんぶっ続け) には、10日と 8 時間 36 分 22 秒かかるらしい。 (この中には数枚か妻の CD が入っているのだが) 自分の人生でこれだけの曲は聴いてきたのだな、と再確認した。これだけ聴けばプロフィールの趣味の欄に 「音楽鑑賞」 と書いてもいいような気がする。

そして、HDD の容量は、96.60GBだから、この容量を納める HDD は、今は 1.5 万円 (カカクコム 調べ) も出せば、おつりが来るだろう。

ちなみに、300 枚の CD は、今はトランクルームに預けて来ている。

Posted on 2004-09-03 by yas |

パラダイムシフト

時代の移り変わりを、「パラダイムシフト」 という。

我々は、90 年代にインターネットを手にした。そして時代が変わった。これをパラダイムシフトという。主に社会またはその分野でインパクトを持って移行が伴うものだ。

今、私たちが目にしているパラダイムシフトは、大きなくくりで言うとIT関連ということになるが、日本では iモード / ケータイ、eコマース、液晶 / プラズマ TV、HDD レコーダー、少し専門的になるが IT の世界では 「オブジェクト指向」 「Java」 「無線 LAN」 あたりとなるだろうか。

サポートを考える。

日本人の感覚から言うとサポートなんてタダかと思うのに、アメリカに実際に住んで少しすると日本人は誰もが業種に関係なくサポートの悪さに驚くようだ。しかも、本当のサポートを受けようとするとタダではない。

例えば…

  1. 年金番号

    まずアメリカで生活するために取るのがこの番号であるが、番号が発行されたか電話をかけると 「あなたの待ち時間は約 21 分です」 などと教えてくる。私は日を分けて 10 回くらいかけただろうか?その中で一番短かったのは 「6 分」であった。電話越しにずっと待ってるわけである。でもこの行政サービス自体はタダだから仕方ない(しかし、当然電話代はかかっている)。

  2. 電話

    電話をつなぎたいと申し込んで、翌々営業日には開通しますよ。なんて言われたのに、その日になって開通しない。問い合わせてみると、どうも電話局からマンションまではつながったが、マンションの配線盤から部屋までつながってないようす(最初からそんなこと私が知る由がないです) 。それをつなげるために技術料 $150 請求された。確かに、契約するときに 「技術サポート入っとくか?」 とは言われた。$150 払っておけば、こういう状況のときにタダになるそうだ。大家に言ったらなんとかしてくれたが…

  3. クルマ

    TOYOTA で新車を買ったとき、3年間(だっけな?) 、壊れた部品がタダになるオプションがあるが、付けるか?と。$1,000(以上)払えば、機械的に故障したところなんかを修理するとき部品がタダになると。日本でもずっと TOYOTA のクルマを乗ってきたが、機械的に故障したことは一度もなかったし、「えっ?TOYOTA の新車なのにそんなに壊れるか?」 と思い、断った。これはコンピュータの世界で言えばアップルケアに近いサービスと言えるだろう。

  4. TV

    TV を買ったら、「$150 で 2 年間で修理サポート付けるか?」 と聞かれた。これは、どちらかというと量販店の 「安心保証」 に近いが、日本の量販店だともっと安いはず。これも、「TV なんてそう簡単に壊れるか?」 と思ったが、店員に 「もし壊れたら送料だってバカにならないよ」 と言われたのと、日本に売ってない特殊な方式の TV (リアプロ)だったので、これは付けることにした。ただし、このサポートは値切ってタダにしてもらったけど。確かに、本体だけで 60 キロはあるので、送料がすごくかかりそう。

…という、主だったあらゆる場面で高いサポート料を求められる。タダの場合は、こちらが多大な(時間的または実費)コストを払う仕組みになっている。アメリカだとこれは当たり前のようである。

同じアメリカの企業でもデルは 「 1 年間サポート無料」 なんて日本のメーカーじゃあたり前のことを全面に押し出して、さらに修理のときに 「引き取り(またはオンサイト修理)」 なんてもするのは、実はアメリカの他の企業では考えられないことだと思う。このサポートを武器にデルが伸びたは、理解できる気がする。実は、日本では当たり前のサービスをやってるだけなんだけどね。

日本の消費者の目は厳しく、メーカーは限りなく品質の高いものを出荷しようとするので、基本的に日本製のものは故障が少ないからサポートにももともと(アメリカのそれに比べ)それほどコストがかかっていないからタダにできる、ということが言えそうだ。品質の高いものを作れば当然販売価格が高くなってしまいそうだが、そこは、日本のメーカーは、技術革新によって、良いものを安く作れる技術を磨いて来たのだと思う。

話としては当たり前のようなことであるが、この当たり前のことをするのがなかなか難しいものなのだ。