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iモード革命 (2)

iモードの契約が勢いよく伸びたのは、それが世界で初めてのケータイそのものによるインターネット接続だったのは間違いない。ドコモはこれで、日本最大のインターネット接続業者=プロバイダとなった。以下は、利用者だけでなく、あまり指摘されてない、開発者側からの観点も含めた、iモードの特長である。

  • iモードの特長
    「ケータイでメールやホームページが見られる」

    メールを送るサービスはケータイでも珍しくなかったが、ホームページを見る、とまでなると PC で…というのが今までは一般的だった。ホームページを作成するためには、HTML という 「言語」 でコンテンツ (ホームページの内容) を記述していく必要があるが、NTTドコモはホームページをケータイから見られるようにするために、コンパクト HTML (CHTML) というものを 「独自」 に開発した。この独自というのは、今の時代は特に、失敗のリスクも大きいものだが、これをあえて推し進めたところに NTTドコモの素晴らしさがある。実は、CHTML でなくても、WAP (ワップ: Wireless Application Protocol) という、モバイル通信における世界標準を定める動きがあったのだが、これを NTTドコモは採用しなかった (WAP は日本では、IDO やツーカーの EZ アクセス、EZ ウェブというサービスで使われている) 。

    ドコモが開発した CHTML とは仕様を見ればわかるように、実は何ら HTML と違いがない。しかし、HTML よりも命令の数は減らされている。すなわち、CHTMLとは、HTML のサブセットなのである。よって、CHTML で記述されたウェブのコンテンツは、通常の PC からも見ることができるのである (ただし、iモードで見られるコンテンツは、iモードのケータイのあの狭い画面に収まるように作られているので、PC で見るとものすごくそっけないものとなる) 。CHTML が HTML のサブセットであることの利点は、なんと言っても、今までホームページを作ったことのある人なら誰でも、iモードのコンテンツを作れるということに尽きる。このため、当初のサービスでは公式サイトは 200 程度だったと思うが、ドコモの予想を上回るペースで個人 (や企業) が作ったオリジナルのコンテンツが増えていった。

  • ケータイというデバイス

    PC を使ってメールを読むとしよう。電源を入れてから、ウィンドウズ (または Mac) が起動し、インターネットに接続し、メールソフトでメールを取り込むまで、一体何分かかるだろうか。私の今使っているノート PC は 3 年前のものなので、少なくとも 5 分以上はかかるだろう。これに比べケータイは、

    「常に電源が入っている数少ないハイテク機器」

    である。常に電源が入っているということは、 5分待たなくて言いということ、すなわちケータイはいつでもインターネット・レディの状態なのだ。これは、リアルタイムでメールの送受信ができるということでもある。

    iモードのメールは、ケータイが一定時間ごとにセンタに自動接続してメールの有無をチェックするのではなく、誰かがメールを送ってくれば、そのままケータイに配送される。このとき、ケータイの電源が入っていなければ、センタにメールは保存される仕組みになっている。

    一方、ウェブサイトに接続するのは、ケータイについている 「iモードボタン」 を押すだけである。どのメーカーの iモードケータイを買っても、このiモードボタンが付いてるのはニクイ。機種によって、統一感を出しているのである。ケータイを実際には利用者は、このボタンを押すことによって、インターネットに接続していることすら意識していないだろう。

    ケータイは、PC に比べ、とてつもなく画面が小さい。一般的な iモードのケータイは横に全角 8 文字、縦に 6 文字程度しか表示することができない。それでは、PC でホームページを見たほうが美しいし、表現が豊かでないか、という意見もあるかもしれない。しかし、よく考えてみて欲しい。画像や写真を多用し、グラフィック豊かなウェブサイトは確かに美しいが、中にはコテコテに飾られたものもある。そして、ホームページが表示されるのにさんざん待たされた挙句、内容はたいしたことなかった、というのも少なくない。こう考えると、画面が狭いことがすなわち不便かというと、実はそうではない。むしろホームページを作る側が、画面の狭さを意識してコンテンツを作るし、ここではグラフィックでの腕は競えないので、iモード用のコンテンツを作るにあたっては純粋に内容の勝負、アイディアの勝負となるのだ。iモードの世界は、 「内容が面白ければ、コテコテのグラフィックなどは実は最初から必要ない」 ということを再認識させてくれるのである。

  • ブラウザとメールの連携

    ブラウザとメールの連携も素晴らしい。PCでも、ホームページの中にあるメールアドレスをクリックするとメールソフトが立ち上がる。そこでメールを送れるのであるが、このとき、ウィンドウはブラウザとメールで2つ開くことになる。iモードの場合も同じようにホームページにリンクされたメールアドレスに向けてメールを送ることができるが、画面が小さいため、メールアドレスをクリックするとその場でメールが書けるようになっている。メールを送ると、もとのホームページの画面に戻る。この遷移は至ってシンプルであり、自分がウェブにつないでいるのかメールを送っているのか意識しないのである。この 「意識しないで」 というのは重要だと思う。シームレス (つなぎ目なく) に、ウェブとメールのサービスがつながっているのである。

  • ウェブページと電話機能の連携

    ウェブサイトのリンクは、

    <a href="...">
        …
    </a>

    タグで記述するが、

    <a href="tel:09071930787">
        山田さんのケータイ
    </a>

    とホームページに書いておけば、 「山田さんのケータイ」 をクリックする (ケータイのボタンを押す) だけで、なんとケータイから電話がかけられるのである (自動的にダイアルしてくれる) 。電話をし終わった後は、すぐさままた、元の今見ていたホームページに戻るのである。これはすごい。ホームページを作る側は、単に "tel:電話番号" と書くだけでよいのだから…

  • 上下左右───アクセスキーと入力文字種

    PCの場合はたいていの場合マウスを動かしたり、マウスのボタンをクリックするという一連の動作でホームページを見ていくが、iモードの場合は、上下左右のボタンもしくはトラックポイント (小さなジョイスティックのようなもの) でホームページを見る。ある意味、テレビのリモコンを操作しているような感覚である。ケータイの場合は、電話番号を入力する0~9の数字がついている。ここでも、CHTMLの工夫があって、この0~9の数字を押すことによって、リンクをたどることもできるようになっている。この場合は、ホームページを作る側が、

    <a href="..." accesskey=1>
        1. 次のページ</a>

    と書けばよい。ここでのポイントは、<a href...> のところに、accesskey=1 と記述することである。これだけで、1. ボタンを押したときに、次のページにジャンプするようになる。なんと、リモコンよろしく、本当にケータイの数字ボタンでホームページを見ていくことができるのだ。この機能をアクセスキーという。

    ウェブのフォーム (名前や住所を入れるようなページ) で、その時々に入力する文字のモード切り替えを自動的に行う機能が備わっている。これも、ホームページを作る側が、

    メール: <input type=text name=email istyle=3>

    と書けば、利用者がメールアドレスを入力するときは、自動的に文字の入力モードが半角英数字となるのである。istyle=3 というのは、ここの入力は半角英数字で、とケータイに指示を与えるものである。ちなみに

    istyle=1: 全角モード
    istyle=2: 半角カナモード
    istyle=3: 半角英数字
    istyle=4: 半角数字

    となっている。ケータイは基本的に電話をかけるための 0~9、# や * を含む必要最低限のボタンしかない。文字を入力するとき、これらのキーを駆使して入力文字モードを変えながら、四苦八苦することになるが、この文字入力モードを自動的に変える機能が備わるだけでもだいぶ手間は省けるものだ。間違いも少なくなる (将来は音声による入力になるのだろう)。

(続きは、こちら)

Posted on 2000-05-22 by yas |

iモード革命 (1)

(iモードの歴史)

NTT ドコモの iモードサービスは、1999/02/22 から始まった。それから 1年ちょっとで 500 万契約を突破し、今では 600 万契約、そして今年中には 1,000 万契約を突破するのとの見通しもある。1ヶ月に 100 万契約ずつ伸びているという。先月あたりから、夜 10 時をまわったあたりからつながりにくくなるという障害が発生し、これは当初はソフトウェアのバグもあったが、結局は加入者増にシステムが追いついていっていないことが原因であるという。確かに、先月は私も仕事で遅くまで会社に残って iモードのシステムを作っていて、メールが届かないのは自分のせいなのか、ドコモのセンタの障害のせいなのかわからなくて困ったときがあった。そんなことはどうでもいいが、これだけ勢いよく加入者が増えたシステムはあまり聞いたことがないから、システムがネットワークの負荷に耐えられなくなるのは、技術的に言っても仕方がないことと思う (これは、同情する)。それを、マスコミが面白がって (?) デカデカと報道するのも、どうかと思う。なにしろ iモードは、

「ケータイのインターネットは、日本が世界で初めて開発した」

のだから。バブル崩壊後、失われた 10 年の中でこのことは、日本人が大いに世界に胸を張って誇りに思うべきことである。今は、ドコモはシステムの増強をしようとしており、東京大田区だけにあったiモードセンタを、横浜と大阪、計 3 ヶ所に広げるつもりだという。

ところで、ドコモの課金システムなどは、アラジンという名前で富士通が開発している。実際には、サン・マイクロシスムズの UNIX サーバ (コンピュータ) が使われており、世界でも超大規模システムの 1 つのようだ。

このアラジンのシステムを作るために、米国のサンでは、同じシステムを作って試験していたというからすごい。

このiモード、それなりに加入者が伸びる理由がある。続きは、こちら

Posted on 2000-05-22 by yas |

IT 革命

IT = Information Technology、すなわち 「情報技術」。

ちょうど 1年ほど前 (1998/12) ごろからよく聞くコトバである。

これは、コンピュータやインターネット、とにかくそういうものを総称するのに使う便利なコトバだ。日経にも 「IT (情報技術)」 と注釈付きなものの、平然と使われるようになった。そして、今起っているのはインターネット革命と表現するのもいいが、 IT 革命と言ってもいいような気がする。

インターネットとクルマ社会

インターネットを考えるときはクルマやクルマ社会をメタファ (喩え) として考えるとよい。インターネットはクルマ社会のメタファと言ってよい。

その対応を示すと、以下の通り。

  • クルマ=コンピュータ
  • エンジン=CPU
  • 馬力=CPU のクロック数
  • メモリの容量=室内空間の広さ
  • HDDの容量 =燃料タンクの容量
  • OS=ハンドル等の形状・位置
  • 左ハンドルと右ハンドル=ウィンドウズとマック
  • クルマの鍵=ユーザー名とパスワード
  • エンスト=ハングアップ
  • 高速道路=ISDN または専用回線
  • 一般道 =アナログ回線
  • インターチェンジ=アクセスポイント
  • 料金所 =ゲートウェイ (ルータ)
  • クルマのナンバー=IP アドレス

などなど・・・

こう見ると、IT の世界とクルマ社会は非常によく似ていると言えるのではないだろうか。ここで、クルマ社会にあって、IT の世界にないもの:

  • 交通法規=ネチケット?
  • 年齢制限=該当なし
  • クルマの免許=該当なし

今後は、インターネットも免許制が導入されるのが良いと常日頃私は考えている。

AIDMA の法則

ここに私が独り言として投稿している内容は、言われればなるほどそうだよな、とか、ともするとあたりまえのことかも知れない。しかし、誰もが思っているそのあたりまえのことを、まだ誰も言ってない(発表していない)状況でそれに気づいて発言することは難しいと思う。